欧州出店から世界へ向かうインテリアブランド~


| なぜオランダ・アムステルダムに出店を?

インテリアの先進国はやはりヨーロッパです。まずヨーロッパで認められなければ北米やアジアへの展開は難しいと思いました。アムステルダムはヨーロッパでは決して大きな都市ではないですが、パリやミラノよりヨーロッパのハブとしてとても良い場所にあります。どの都市にも数時間で異動できますので、多くのヨーロッパの人が気軽に観光に訪れる街です。

オランダ人気質はとてもおだやかです。アムステルダムは小さな都市で新しいものがあるとすぐに伝わりそれを聞きつけて人々が集まる。そしてオランダは自他共に認めるデザイン大国です。ヨーロッパのオピニオンリーダーが認めればそれが世界中に発信されます。

ヨーロッパで認められれば、これからのマーケットの中心となる北米やアジアへと広がります。特にアジアは日本企業にとって魅力かつ重要なマーケットです。リピート訪日で日本の魅力にはまるアジアの若者たちがやがて結婚し、家庭をもって家造りを始める。これからのインテリアマーケットに重要な地域です。

日本のインテリア消費財はもともとアジアの発祥のものが多く、彼らにとってはそれほど違和感なく使えますし、日本のものづくりをリスペクトしている文化人も多いです。

 


| インテリアという文化を海外に、そして未来へ発信する使命がある

インテリアと言えば世界では北欧やイタリアなどの認知度が高いです。品質が良いのはもちろんですが、インテリアのブランディングを早くからやっていました。インテリアの有名メーカーは、元は小さな家内工業だったところがほとんどです。それをうまくブランディングしながら成長させてきました。


ですが、現在日本のインテリア文化も食文化と同じように世界各国で認知されてきています。特に欧米ではミニマムズは日本の文化として人気があります。禅とかわびさびの世界です。そのようなシンプルな空間はこれからもますます日本のインテリア文化として認知されることでしょう。

お辞儀や敬礼・本音と建前、謙遜といった独特の文化をもった日本。言語外の空気を読み、たおやかに、ゆるやかに、ゆったりと対処するそんな趣のある文化。静寂の中に喜びを見いだし、繊細な感性を重んじる日本文化。これを磨き上げて、高い精神性を身につけたい人が日本の文化に興味をもっています。

 

 

 



| 商品一つひとつにストーリーがある。

TIME & STYLEの商品は日本をテーマにしたものが多いですが、漆や工芸品などで日本を象徴するようなTHE NIPPONのイメージではなく、日本人特有の美意識をコンセプトに、新しいインテリアスタイルの商品を開発しています。

日本発の消費財は多くの工業技術や伝統工芸技術で守られています。特にインテリア用品は地域で奮闘している多くの職人や作家によって造られたものが大半です。タイムアンドスタイルの製品はすべて日本製です。椅子やキャビネット等の木工製品は旭川の自社工場で熟練の技術者たちが一つひとつ丁寧に生産したものを、他のプロダクトは地域の伝統工芸技術との協働で製作されたものです。

 

 

 


たとえばキャビネットの脚。富山県高岡市の銅器で造られています。高岡市は伝統工芸製品の製造がいまでも盛んな地域で高岡銅器は千数百度の高温で溶かした金属を型に流し込む鋳造法を全国1位の生産額を誇っています。高岡には鋳造・磨き・彫金などの各工程に、高度な技を持った熟練の職人がおり、近年は現代のライフスタイルに合った新商品の開発も盛んで、その技術が現代のものづくりにも生かされています。
 

 

bisqueという名のペンダント照明は東京都江戸川区の「へら絞り」の技術で金属を成型する工場で製作しています。「へら絞り」とは金属の平板を回転させながら、金型を土台にしてへらと呼ばれる棒で職人が力を入れて金属板を金型に押し当てながら同心円の立体物に成型してゆく、手づくりの金属加工技術です。

宇宙開発のロケットの先端部やパラボラアンテナなどの様々な分野でへら絞りの技術が使われています。一つひとつ手加工のため大量生産には向きませんが、複雑な形状も職人の手によって成形することができる技術です。

 

 

 

全体の形状は伝統的な雪洞照明の緩やかで円弧の形から、現代的な空間の中で決して日本的になりすぎることのないように、和紙を通した電球のあかりが空間の中に日本的且つ現代的で新鮮な空気を生み出すことを目指した美濃和紙を使ったランプ。

杉材のフレームは少しだけ肩を張るような曲木のラインを作り、従来の癖のない形に現代的なエッセンスを加えました。その杉材の細さが照明全体の繊細な雰囲気を生み出しています。指物師の高度な技術力と新しいことに挑戦する気持ち、そして美濃和紙職人の誠実な仕事から生まれた和紙の美しさが生み出すアンサンブルから生まれた製品です。


 

 

タイムアンドスタイルにはたくさんのテーブルウエア製品があります。漆器や陶器・磁器などそれぞれのテーブルウエア製品は、全国の産地や窯元、工房を巡り、職人とともに産地特有の技術や伝統工芸を用いて作り上げているオリジナルプロダクトです。

 


アムステルダム店で一番話題になるのがグラス。余計な装飾の一切ない、シンプルで美しいグラス。技術を大切に受け継いた熟練の職人が吹き上げるガラスは厚さ1mmを切り、一つ一つ丹誠こめて作り出される極薄のグラスです。ガラスとは思えないほど軽くてソフトな手触りの薄さを均一に精製されたグラスは力が分散し、簡単には割れない強度を持っていますが、丁寧に扱わないとやはり厚みのあるグラスよりは割れやすい。

日本人はこんなグラスを日常で使っているのか?食器洗乾燥機に入れられないじゃないか・・・

と、オランダ店を訪れたお客様によく聞かれます。日本人は丁寧に一脚づつ洗うというと、ためいきまじりに感嘆します。ばかにするわけでもなく、感心してほめるわけでもない何ともいえない表情です。これが日本の文化だと一応は理解しているようです。

 

タイムアンドスタイルの商品にはひとつひとつにストーリーがあります。それを現地のお客様に伝えなければいけない。

日本の器の良さや使い方を知ってもらうために、一流シェフによるタイムアンドスタイルの器を使って料理デモンストレーションや小さなコンサートなどを開催しています。

 


 

人の趣味趣向はいろいろで、日本でもヨーロッパ文化のインテリアが好きな人がいるように、世界には日本のインテリアが好きな方が大勢います。ですが、われわれはそれをまだ伝え切れていない。しっかり伝えることで初めてインテリアの先進国と肩を並べられる。われわれには世界に発信していかなくてはいけない。世界に認めさせるために発信するのがわれわれの使命と考えます。

今回のアムステルダム出店を足かがりに日本のインテリア文化を世界に広めていきます。

 

 

 

(文:KEIKO YANO (矢野 恵子)  /  更新日:2017.10.01)

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