20世紀を代表する椅子のデザイン一覧 Vol.10

 

20th_century10

20世紀のデザイン史は、伝統の再生や新しい発見を繰り返し、文化と日常生活の中で多様化して来た。常に変化する消費者の好み、商業的優先順位、生産技術の発展などに対応しながら空間提案・デザインを形作られた。
現代の生活に適応する多くの「20世紀の名作椅子」の代表作を年代順に辿ってみよう。

 

デンマークのモダンデザインは「木」が主流だが、1950年代から60年にかけて「石油系」の新素材を使って、フリッツ・ハンセン社の協力で、素材研究開発が行われた。ガラス繊維で強化されたプラスチィックのFRPや硬質ウレタンフォームは、プラスチィック発泡体であり自由な三次元形状を作り出せる素材。その時代の先端技術を使って機能性に優れた椅子が、カラフルな色彩や自由な造形を作り出して、家具のフォルムを変えた。

 

 

 

 

57

0570

コペンハーゲンのSASロイヤルホテルの内装、家具を含めたトータルにデザインを実践したロービーで、周囲を遮断して自分だけの空間を手に入れるために設計した椅子。アルミダイキャストの脚部に硬質発泡樹脂による一体成型のボディーを乗せた形態は、人間工学的機能を調和させた独創的で有機的なフォルム。硬質発泡ウレタンが始めて家具に使われ、斬新なフォルムを実現できた。

0401

他作品: アントチェア/ セブンチェア [カウンタースツール] アームタイプ]/ グランプリチェア/ エイトチェア/ エッグチェア/ スワンチェア

 

 

58

0580

スワンチェアは、エッグチェア・ドロップチェア・ポットチェアと共に、SASロイヤルホテルのために設計された椅子。硬質発泡ウレタンによる一体成型のボディーは画期的で、名前の由来は、白鳥が羽根を広げているようなフォルムから「スワン」と呼ばれた。常に新しい素材や技術を使い量産可能なユニークな形態は、人間工学的機能に調和させた新しい家具を数多く生み出した。その美しいフォルムと斬新なデザインは、第2回国際家具コンペで入賞した。

 

 

 

59

0590

3つのパーツに分解できるコンパクトなデザインで、座と脚部を蝶ねじで留める。スチール平板の「カンティレバー」タイプで座部を支えるので、強度と弾力性がある。農作業トラクターの座席をモデルにした。彫刻的フォルムが加味された「合理的表現主義」と評されている。
プロダクトデザイナーのカスティリオーニ兄弟のデザイン。アッキレはコンバッソ・ドーロ賞を8回、その他数々の賞を受賞している。

 

 

 

60

0600

座は伸縮加工したニット素材が使われいており、見た目よりも座り心地が良く、張り地によって印象も変わる。見る角度で様々な表情を楽しめ、デザイン性が高いためホテルのロビーなど広い空間に映える華やかさがある。
一点で支える構造のおかげで遠目で見たときに、ハートが宙に浮いているかのように見える。バリエーションとしてデザインされた、アイスのカップコーンのような形をした横幅が57cmの「コーンチェア」もある。

0601

 

 


 

他作品: 「パントンチェア」(1960年)/「コーンチェア」(1959年)/「ハートコーンチェア」

 

 

 

61

0610

力強く、素朴で美しい、自らの邸宅のためにデザインした「スパニッシュチェア」。スペインの貴族階級に使われていた一枚革の木製椅子を、リ・デザインして「スパニッシュ」の名が付いたとされる。
座面の大きな革皮は裏側で張りを調整でき、広いアームはサイドテーブル替わりにもなる。
モーエンセンは、家具職人のマイスターを取得し、1942年に王立美術大学家具科を卒業。北欧の名匠の代表作。

0301

 

 

 

 

他作品: ハンチィングチェア(1950年)/ スパニッシュチェア(1959年)/ ウィングバックチェア(1963年)

 

 

 

62

0620

ラタン調の編み込みの質感で、卵型をしたハンギングチェア。1人掛けのハンギングチェアは、ブランコに座ったような宙に浮いた浮遊感でリゾート空間を作り出す個性的なフォルムである。ディッツェル夫妻の共同作品である。

 

 

 

63

0630

「パントンチェア」は1967年に発表されると、世界中で絶賛を受けた。プラスチックの一体成型は画期的なアイデアで、可塑性の素材の特性を生かした流れるようなフォルムを持ち、現在では環境に優しいポリプロピレン製。スタッキングできるカラフルな仕上げは、実用性にも優れた椅子である。
コペンハーゲンの王立美術アカデミーで建築を専攻した後、当時の北欧のトップであったアルネ・ヤコブセンの建築事務所で働く。1957年には20世紀の名建築家のひとつ「カードボードハウス」を設計。スイスに移住後は国にとらわれない幅広い活躍をはじめる。欧州の数多くのメーカーでデザインをし、現在も生産をが続けられている。パントンは、奇抜で斬新な色彩の空間、家具や照明、テキスタイルまでトータルな空間デザインを提案している。

 

 

(文:小竹 みちえ  /  更新日:2016.12.22)

この記事へのメンバーの評価

  
  • まだコメントがありません。

バックナンバー

Knowledge and Skill

Group Site

ページトップへ