建築・インテリア法律規制の基礎知識VOL.11「避難誘導灯設備」

建築・インテリア法律規制の基礎知識VOL.11「避難誘導灯設備」

 

建築の知識はインテリアプランニングをする上でも大切なもの。ここでは、インテリアプランニングをするうえで必要な建築の法律規制知識を身につけます。

第11回目は「避難誘導灯設備」です。

 

 

■ 避難誘導灯は4種類


避難誘導灯設備は火災時の安全な避難誘導を補助する設備として、建物の避難動線上に設置する。避難誘導灯設備は、店舗関連の用途では、ほとんどすべての建物に設置の必要がある。
 

避難誘導灯は、以下の4種類があげられる

① 避難口誘導灯・・・避難口の位置明示。避難方向の明示
 (階段又は傾斜路に設けるもの以外のもの)

② 通路誘導灯・・・避難上、必要な床面照度の確保、避難の方向の確認
   (階段又は斜路に設けるもの以外のもの)

③ 客席誘導灯・・・避難上必要な床面照度の確保

④ 誘導標識(避難口誘導標識)・・・主要な避難口の位置を示す灯火や標示です。
  (緑地に白絵文字で表されています。)

  誘導標識(通路誘導標識)・・・避難通路となる廊下や壁面に設けられ、避難の方向を示しています。
  (白地に緑絵文字で表されています。)

 

これらの基準は、消防法により規定されている。また、避難口誘導灯については、高齢者や視覚・聴覚障害者のために、点滅型誘導灯や誘導音声装置付誘導灯を設置する場合もある。

 

これらの誘導灯は、自動火災報知設備の感知器の発報信号と連動し、点滅や音声で誘導の補助を行う。誘導灯は、火災や地震による停電でも専用電池で消灯することはなく、電源供給が絶たれた直後から連続20分以上の点灯が義務づけられている。(延べ面積5万㎡以上あるいは地階を除く階数が15以上で延べ面積3万㎡の建物の主要な避難経路に設けるものは60分以上)

 

また、建物が無人となる時間帯や劇場・映画館などの利用形態によって暗さが必要となる場合、外光によって避難口または避難方向が確認できる場合や主として建物の関係者および関係者に雇用されているものが使用する場所の誘導灯は、自動火災報知設備との連動で点灯することを前提に消灯が可能である。

 

 

■ 設置基準


[表1]に誘導灯、誘導標識の設置区分を一覧表にして示す。

商業施設においては、すべてのエリアにおいて避難口誘導灯、通路誘導灯の設置義務がある。劇場や集会場においてはそれに加えて客席通路誘導灯を設置しなければならない。誘導灯の種類についてはその階の床面積が1000㎡以上の場合にA級またはB級、BH型の室内通路誘導灯、C級以上の廊下階段通路誘導灯の設置が必要である。

誘導灯及び誘導標識の設置基準

 

 

■ 誘導灯用語の解説
 

(1) 誘導灯とは火災時、防火対象物内に居る者を屋外に避難させるため、避難口の位置や避難の方向を明示し、または避難上有効な照度を与える照明器具を言い、避難口誘導灯、通路誘導灯及び客席誘導灯がある。

(2) 誘導標識とは、火災時、防火対象物内に居る者を屋外に避難させるため、避難口の位置や避難の方向を明示した標識を言う。

(3) 点滅装置とは、自動火災報知設備からの火災信号により、自動的にキセノンランプ、白熱電球または蛍光ランプを点滅する装置をいう。

(4) 誘導音装置とは、自動火災報知設備からの火災信号により、自動的に避難口の所在を示す為の警報音及び音声を発生する装置を言う。

(5) 信号装置とは、自動火災報知設備からの火災信号、その他必要な動作信号または手動信号を誘導灯に伝達する装置を言う。

(6) 避難施設とは、避難階もしくは地上に通じる直通階段(傾斜路を含む)、直通階段の階段室、その附室の出入り口または直接屋外に出られる出入り口を言う。

(7) 居室とは、建築基準法第2条第4号に定める執務、作業、集会、娯楽、その他これらに類する目的の為継続的に使用する室及び駐車場、車庫、機械室、ポンプ室等これらに相当する室を言う。

(8) 廊下等とは、避難施設へ通じる廊下または通路を言う。

(9) 避難口とは、消防法施行規則第28条の3第3項第1号に定める出入り口及び場所を言う。

(10)容易に見通しできるとは、建築物の構造、什器などの位置による視認の障害がないことを言う。なお、吹き抜けなどがある場合は、避難経路を含めて視認できること。ただし、出入り口や誘導灯が障害物により視認できない場合であっても、人が若干移動する事により出入り口や誘導灯を視認できる場合は、見通しできるものとみなす。

 

 

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■ 誘導灯の等級


誘導灯の種類と等級を[表2] [写真1]に示す。避難口誘導灯および通路誘導灯は表示面の明るさや大きさによってA級、B級、C級に分類される。A級は表示面の縦寸法が0.4m以上、B級は0.2m以上0.4未満、C級は0.1m以上0.2未満、となっている。
 

誘導灯の種類と等級

 

誘導灯の種類

 

 

■ 誘導灯の設置基準


[表3]に誘導灯および誘導標識の歩行距離を示す。また以下に各誘導灯の設置場所を示す。

誘導灯・誘導標識の歩行距離

<避難口誘導灯>

避難口誘導灯の設置場所は次の(1)~(4)による(消防法施行規則第28条の3)。

(1) 屋内から直接地上へ通ずる出入り口(附室が設けられている場合は、当該附室の出入り口) [図2-(1)]

 

屋内から直接地上へ通ずる出入口

 

(2) 直通階段の出入り口(附室が設けられている場合は、当該附室の出入り口)。

なお、附室内に複数の出入り口がある場合には当該出入り口に誘導標識の設置が指導される。[図2-(2)]

 

直接階段、出入口

 

(3) (1)または(2)に揚げる出入り口に通ずる廊下または通路に通ずる出入り口。消防法規則28条の2の緩和規定によって居室の各部分から主要な避難口が容易に見通せ、かつ識別できるもので、床面積が100㎡(主として防火対象物の関係者および関係者に雇用されている者の使用に供するものにあっては、400㎡)以下の時は設置しなくてよい。[図2-(3)]

 

廊下、または廊下へ通じる出入口

 

(4) (1)または(2)に揚げる出入り口に通ずる廊下または通路に設ける防火戸で、直接手で開くことのできるもの(くぐり戸付の防火シャッターを含む)がある場所(自動火災報知設備の感知器の作動と連動して閉鎖する防火戸に誘導標識が設けられ、かつ当該誘導標識を識別できる照度が確保されるように非常用の照明装置が設けられている場合を除く)。[図2-(4)]


通路に設ける防火戸

 

誘導灯の設置にあたっては以下の点に留意する必要がある。

① 廊下などから屈折に避難口に至る場合は、矢印付のものを設置する。

② 通行の障害とならないように設けること。

③ 雨水のかかるおそれのある場所または湿気のある場所に設ける避難口誘導灯は、防水構造とする。

④ 避難口誘導灯の周囲には、誘導灯と紛らわしい、または誘導灯を遮る灯火、広告物、掲示物等を設けないこと。

また、誘導灯の視認障害を発生されるディスコ等の特殊照明回路には、信号装置と連動した開閉器を設け、火災発生時には当該特殊照明を停止させる事。

 

 

<通路誘導灯>

通路誘導の設置にあたっては、前述の避難口誘導灯設置の留意事項に加え、以下の点に注意する。また、[図3-1]に通路誘導灯の配置例を示す。

通路誘導灯の配置例

① 当該防火対象物の関係者のみが使用する場所にあっては、施行令第32条を適用してB級またはC級とすることができる。

② 床面に設ける通路誘導灯は、荷重により破壊されないように強度を有するものであること。

③ 床面に埋め込む通路誘導灯は、器具面を床面以上とし、突出し部分は5mm以下とすること。

④ 廊下などの直線部分に同じ区分の通路誘導灯を2以上設置する場合は、おおむね等間隔になるように設置すること。

⑤ 避難施設への出入り口が2ヶ所以上ある場所で、当該出入り口から20m以上となる部分に設置するものの表示は、原則としてニ方向避難を明示し、その他のものは一方向指示とすること。

⑥ 消防法施行令別表第1(9)項イまたは(16)項イに揚げる防火対象物のうち、(9)項イの用途に供される部分で、脱衣所、浴室、マッサージ室等の居室が廊下等を経ないで通行できる場合は、この居室の連続を一つの居室内通路とみなし設置すること。

 

<階段通路誘導灯>

設置の留意点を以下に示す。

① 階段または傾斜路には、階段通路誘導灯を設けること。

② 階段または傾斜路に設ける通路誘導灯にあっては、路面または表面および踊場の中心線の照度が1ルクス以上となるように設けること。規定照度が確保されていれば矢印等の設置の必要はない。

 

<誘導標識>

設置の留意点を以下に示す。

① 避難口に設ける誘導標識は、消防法施行規則第28条の3第3項第1項に掲げる避難口の上部等に設けること。

② 廊下または通路に設ける誘導標識は、廊下または通路及びその曲がり角の床または壁に設けること。

③ 百貨店等の売り場部分(売り場面積が1000㎡以上の階)にある避難通路の床面部分に設置すること。

④ 階段室内には、階数を明示した標識または照明器具を設けること。

⑤ 避難口または階段に設けるものを除き、各階毎に、その廊下および通路の各部分から一の誘導標識までの歩行距離が7.5m以下となる箇所及び曲がり角に設けること。

⑥ 多数の者の目に触れやすく、かつ、採光が識別上十分である箇所に設けること。

⑦ 誘導標識の周囲には、誘導標識とまぎらわしい、または誘導標識をさえぎる広告物、掲示物などを設けないこと。

⑧ 誘導灯と併設する場合の誘導標識は、努めて蓄光式誘導標識を用い、誘導灯設置付近等の床面に設置すること。ただし、床埋込形の通路誘導灯を設置した箇所を除く。

⑨ 誘導標識は、容易にはがれないよう接着剤等で固定すること。

⑩ 扉、床等に塗料を用い、誘導標識の基準に準じ標示したものにあっては、誘導標識として取り扱うことができる。

 

 

誘導灯の設置が免除される部分

以下に掲げる部分については各誘導灯の設置が免除されるが、各都道府県の条例等により規制される部分もあるため事前に所轄消防に確認することが望ましい。

(1) 居室の各部分から主要な避難口を用意に見通せ、かつ識別できる場合で、その歩行距離が [表4][図3-2] に示す距離以下の場合設置が免除。ただし、地階、無窓階はこの限りではない。

誘導灯、誘導標識の設置免除

誘導標識の設置免除

 

(2) 居室の各部分が、当該居室の出入口を容易に見通し、かつ識別できるもので、床面積が100㎡(主として防火対象物の関係者及び関係者に雇用されている者の使用に供するものにあっては400㎡)以下の場合、設置が免除される。[図2-(3)]

通路に通ずる出入口

 

(3) 政令別表第1(1)項及び(4)項あるいは(16)項イの用途でかつ(1)項及び(4)項の用途に供する部分の床面積が1000㎡以上の防火対象物以外で容易に見通し、かつ識別できる出入口のうち、10m以内にある通路誘導灯の位置から、直接地上に出られることが容易に判断できる最終避難口の避難口誘導灯。

(4) 同上用途面積の建物のうち避難階で居室の窓等から屋外の安全な場所へ容易に避難できる構造となっている当該居室の出入口部分の避難口誘導灯。

(5) 直通階段等からの最終避難口で、直接地上に出られることが判断できる出入口の避難口誘導灯。

(6) 消防法施行令別表第1に掲げる防火対象物のうち、個人の住居の用に供する部分。

(7) 避難口が近接して2以上ある場合で、その一の避難口に設けた避難口誘導灯の灯火により容易に識別することができる他の避難口(他の避難口には蓄光式誘導標識を設置すること。)

(8) 消防法施行法令別表1(1)項に掲げる防火対象物のうち、屋外観覧場で部分的に客席が設けられ、客席放送、避難誘導員等により避難誘導体制が確立されている場合における観覧席からの出口部分(夜間使用する場合を除く)。

(9) 室内から直接地上へ通じる避難口または直通階段の避難口に通じる廊下等への出入口(室内の各部分から当該居室の出入口を容易に見通し、かつ、識別することができるものに限る)で、次に掲げるもの。

① 消防法施行法令別表第1(3)項、(4)項、(9)項および(12)項ロ(撮影室、録音室であって客席が設けられていないものに限る)の用途に供する部分で、客の出入する居室の床面積が200㎡以下であるもの(外光により避難上有効な照度のとれない地階及び無窓階に該当しないものに限る)。

② 政令別表1(6)項から(8)項までの用途に供する部分で、客の出入する居室の床面積が400㎡(外光により避難上有効な照度の取れない地階及び無窓階に該当する場合は200㎡)以下であるもの。

 

 

■ 点滅機能および音声誘導機能を付加した誘導灯を設置する場合の留意事項


お年寄りや身体障害者等、視力や聴力の弱い者を含む不特定多数の人が常時出入する商業施設では、避難口が容易に探し出すことができるように、通常の誘導灯に音声誘導機能や点滅機能を付加したものを設置する。法的に設置が必要となる建物および設置場所は以下の通りである

(1) 視力、聴力の弱い者が出入する建物の避難経路となる部分。

(2) 百貨店、マーケットなど物品販売を営む店舗、または展示場の地階のうち、売り場面積が1000㎡以上の階で売場に面する主な出入口。

(3) 不特定多数が出入する建物で、誘導灯を容易に識別しにくい部分。ほとんどの商業施設は上記に該当する。さらに、最近は街づくり条例等、福祉関連でも避難口を容易に識別できるような設備の設置が要求されるので注意が必要である。設置する場合の留意事項を [表5] に示す。

点滅機能及び音声誘導機能を付加した誘導灯設置上の留意事項

 

 

■ 誘導灯の消灯について


映画館や劇場など上映時間中に暗さが要求される施設や、店舗の売場など夜間無人となる施設では、ある一定の条件下において誘導灯を消灯させることができる。消灯できる建物種別および消灯させる方法を [表6] に示す。また、消灯システムのブロック図を [図4] に示す。

誘導灯の消灯とその方法

誘導灯消灯のブロック図

 

 

■ 適切な誘導灯の選定と配置を


不特定多数が出入する商業施設においては、火災時多数の人々を的確に安全な場所に誘導することが被害の拡大を防ぐ重要な事項となる。その意味で、適切な誘導灯を選定し、避難経路に確実に配置することが重要である。ここに記載されているように、法規に準拠して適切に配置するだけでなく、陳列棚や他の案内看板等との位置関係に十分に配慮し、誰もが避難経路を確実に認識できるものでなければならない。また、映画館や劇場等、施設の目的によっては誘導灯の光が演出効果を妨げる要因になるため、安全上支障のないシステム構成によって消灯することができる。目的に応じた適切な設計が望まれる。

 

 

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(文:インテリア情報サイト編集部-1  /  更新日:2014.10.09)

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