vol.10 nendo

佐藤オオキ

各国のインテリアデザイン・プロダクトデザイン・グラフィックデザイン・インダストリアルデザイン業界の有名デザイナーを紹介していく、「デザイナーをもっと知ろう!!」シリーズ。
第10弾は、デザイン集団nendo率いる 佐藤オオキ氏です。

 

<経歴>
1977年 カナダ トロント生まれ
2002年 早稲田大学大学院理工学研究科建築学専攻修了
        nendo東京オフィス設立
2005年 nendoミラノオフィス設立
2006年 昭和女子大学非常勤講師
        Newsweek誌「世界が尊敬する日本人100人」選出
2007年 Newsweek誌「世界が注目する日本の中小企業100社」選出
2008年 作品集「nendo」出版(独・daab)
2009年 桑沢デザイン研究所非常勤講師
2010年 作品集「nendo ghost stories」出版(ADP)

<主な受賞>
2007年 I.D. Annual Design Review 最優秀賞 (米)
2008年 red dot award 受賞 (独)
     Furniture Design Award 最優秀賞 (シンガポール)
     iF products design award 受賞 (独)
2009年 Wallpaper Best Domestic Design 受賞 (英)

現在は東京とミラノに拠点を 持ち、建築、インテリア、プロダクト、グラフィックと幅広く活動を行う。

 

【関連記事】 ミラノ万博(2015年ミラノ国際博覧会)日本館内ギャラリー空間と16点のプロダクトを nendo がデザイン

2009年以降のnendoの作品をみる
#nendo 1
#nendo 2

 

 Chair Garden

ミラノサローネ2010では、ミラノ市内にある中庭のあるギャラリー“Galleria Antonia Jannone”にて個展「chair garden」を開催しました。

スツールに背もたれが生えてチェアになる。アームが生えてアームチェアに、ヨコに伸びてベンチに、タテに伸びてラウンジチェアに、さらに拡大してベッドになる。家具の「成長過程」に応じて機能も変化していくと仮定してみると、新たな糸口を思い描くことができるのかもしれない。
機能や人体のモジュールから形状を導くのではなく、自然発生的に「生成される家具」をイメージした空間インスタレーションです。

 

wire chair

また「wire-chair」も同時に展示していました。
これは、ステンレス棒を薄い木材で被覆した、直径15mmの太さの脚をもつ「cord-chair」(下写真参照)の発展形のものです。

被覆している木材を取り除き、ステンレス自体の強度で自立できるように太さを9mmから12mmに変更。次に、粉体塗装と手磨きを何回も繰り返す仕上げによって、伝統的な「漆塗り」のような瑞々しい光沢感をもつ姿となりました。これにより、cord-chairでは実現できなかった、表面の耐久性や耐水性による屋外での使用や、空間に応じた様々な色の塗り分けが可能となり、これまでとは異なる新たな魅力を引き出せました。

cord-chair

こちらがその発展前の「cord-chair」。
nendoとマルニ木工が開発したもので、世界で最も細い椅子といってもよいのかもしれません。
わずか3mm厚という木の部材を職人が手で削り出し、内側に9mmのフレームを包むようにはめ込んだ。木目の合わせもそろうように、貼り合わせられたという。電源コードの金属導線とその周りを覆うゴムのような関係が、スチールとメープル材で実現したのである。木工機械が使えず、一つ一つ手で作業して生まれる椅子なのです。
こんなに繊細な見た目ながら、人が乗っても大丈夫なほどの強度を持ちます。そして細くしなやかで美しい。日本人の繊細な感覚がかたちになったようなプロダクトといえるでしょう。

 

cabbage chair

こちらの作品は、21_21 DESIGN SIGHTの1周年を記念した、三宅一生氏ディレクションによる企画展「XXIc. -21世紀人」のためにデザインした小椅子。

プリーツ布地を製造する過程で大量に廃棄されるプリーツ紙を使って家具を作って欲しい、という三宅氏からのリクエストに対して、ロール状に巻き取られたプリーツ紙の束を、まるで野菜の皮のように一枚一枚剥いていくことで、小椅子が生まれた。

とても単純な製造プロセスのため、コンパクトな束の状態で配送し、自分自身で剥いて椅子に完成させるという販売方法も将来的には可能だと考えたそう。

 

ROLL

また2010年にセラトレーディングから発売されたのが、こちらの洗面器「ROLL」。

今までの概念であった「洗面器=水を受けるための器」ではなく、水と空間の境界を意識してデザインされた洗面器です。1枚の紙を用いて1つの円を作ったようなかたちが特長で、くるりと巻いたその様子から「ROLL」と名付けられました。特長である「巻き」を美しく見せるため、手前でリムがずれている状態を陶器で表現、洗面器のフチを薄くすることで、軽やかさも出しています。
 

ACUO POWDER

そしてパッケージデザイン。

㊧LOTTE「ACUO」の内部にミント味の「パウダー」を加えた、瞬間的に強い清涼感が拡散するブレスケアガムのパッケージデザイン。

㊥電池駆動で定期的に香りミストを噴射する 「自動でシュパッと消臭プラグ」と、コンセント差込式で香りを蒸散させる「消臭プラグ」の2商品からなる電子式消臭芳香剤ブランドのデザインリニューアル。

㊨NTT DoCoMoとNECと共同開発した携帯電話「N702iS」。

 

佐藤オオキ

最後に内装デザイン。

㊧恵比寿にある個人住宅「コケの家」
東京・恵比寿を流れる渋谷川沿いに建つ木造家屋をリノベーションし、住居兼アトリエにするプロジェクト。
全面にコケを貼ると生々しくなりすぎることから、この中間として、コケで壁紙のようなパターンを表現。これにより人工物でも自然物でもない、曖昧なテクスチャーが生まれた。同じパターンはアトリエの開口部や扉の取手、ケーブル孔などにも使用され、コケのパターンと空間がより「馴染む」ようになった。

㊥渋谷の「24 ISSEY MIYAKE」
手頃な価格帯と豊富なカラーバリエーション、さらに頻繁に商品構成が入れ替わることから、「コンビニ」をコンセプトとした「24 ISSEY MIYAKE」。
渋谷パルコ店では、これまでのラインアップに加えて「ビルバオ」というバッグをフィーチャーする店舗であることから、新たなデザイン要素が求められた。

㊨表参道のフィットネスジム「ILLOIHA OMOTESANDO」
フィットネスジムILLOIHAの2号店。
これまでのアウトドア的で無骨なクライミング・ウォールではなく、ピクチャーフレームや鏡、鹿の頭、鳥かご、花瓶といったインテリア的な要素で構成されつつも、掴み位置が見つけにくかったり、指の引っ掛けかたに特徴がある、といった機能面も新たな提案になった。

 

早稲田大学大学院を卒業後、すぐに事務所を構えるという行動力、それがきちんと仕事になるという計画力、そして日本的な部分が魅力のデザイン力は、見習いたいものです。
 

 

 

 

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(文:インテリア情報サイト編集部-2  /  更新日:2011.01.18)

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