【インタビュー】 世界に挑戦し続ける日本企業 Vol.4 「ACTUS」


2018年オープン時のアクタス・吉祥寺店

「アクタスのスタッフは、自分たちにとってインテリアは自己実現であることを知っています。『自分自身が人生を豊かにしたい、幸せに快適に過ごしたいとの思いからインテリアが好き』そのことに誇りをもっています。ご存知のようにアクタスの店内の商品はヨーロッパのハイエンドブランドからミドル、カジュアルもあって一見ばらばらです。ですが、それをばらばらに感じさせないのはスタッフの編集力と提案力です。生活者(購入者)からすると自分にとって一番フィットするのはどんなインテリア?と悩みます。それを型にはめず、お客様個々に寄り添って提案できるのがアクタスのスタッフです。自分たちのリアルな生活を公開した『123人の家』が誕生したのもその理由のひとつです。」

会社のルーツの志とつながりました。

「スタッフにはアクタスが持つ価値観にそって自分で考えて行動してもいいよって言っています。アクタスは商品というハードを売っていますが、実際にはライフスタイルというソフトを提案している企業です。社内では編集型セレクトショップという考えを軸においています。たとえば家具でいえば、ヨーロッパ製品の輸入が1/3、あとは日本の作り手の方々やアジアの工場でのOEMによるオリジナルブランドで構成されています。そこにアクタスの独特の雰囲気があるのだと思います。」

 


2019年「大アクタス博」でアクタススタッフが好き勝手に考えたアクタスの未来


「50年という半世紀をふりかえってアクタスは微力ながら日本人の住環境の向上に貢献してきたのかなと思います。私たちは、日本の生活が変化していく様子をずっと見続けてきました。そして、日本人の生活が内面も含めて真に豊かになってきたのを感じます。日本のライフスタイルにはまだまだ伸び白があります。これから日本の人々はもっと豊かになりますよ。」そう強くおっしゃる休山さん。

アクタスは現在、国内のみの展開ですが、50年世界に挑戦してきた企業だと思います。紆余曲折はありながらもヨーロッパの製品を輸入しながら、彼らの生活文化も伝え、いつか彼らより豊かな生活が日本人にもできるはず。そう願いながら常に新しい生活文化を提供し続けてきました。

 

 

 

日本の幸せは丁寧な暮らしの中にありました

昨今、イデオロギーによる違いなのか、新聞やTVなどのマスメディアとSNSにおけるソーシャルメディアとの対立が徐々に大きく目立つようになりました。

感情の分極化が目立ちます。新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的流行)になって以降、些細な出来事でも簡単に対立を生み、徐々に大きく目立つようになってきました。こうした感情的な社会における分断は、インターネットの影響とみなされることが多く、出所が不明確な情報からと言われています。また、新聞やTVなどのマスメディアでも煽り情報が多くなりました。

未来はAI(人口知能)や情報によるデジタル・テクノロジーによって社会は支配されるという人たちがいます。メディアのビジネスモデルで、「人々が苛立ち、妄想に取り憑かれ、分断され、怒っているときにより多くの金を生む」という学者の話もあります。

これでは社会が破壊してしまいます。
 

AI(人口知能)によってなくなる仕事の話をよく耳にします。なくなる仕事は機械によって仕事がうばわれる職業だろうとなんとなく想像ができますが、では、なくならない仕事はどんな仕事でしょう。人間ならではの『意思』や『判断』が問われる営業やマネージメント職、新しいものや価値を生み出す『創造』のクリエイティブ職、看護介護の『癒し』を必要とするホスピタリティ職、機械化がむずかしい『手作業』領域のクラフトマン職、『AIと共存』する世界を実現していくテクノロジーの職種などがなくならない職業といわれています。

そのすべてにあてはまるのが人々の生活を豊かにするインテリア業界の仕事だと思います。


アナログとデジタルはバランスよく発展しなければ人は決して豊かにはなりません。人は幸せになるために生きていきます。そして日本人の幸せは「丁寧な暮らし」の中にありました。これこそ日本人が一番得意とする生き方です。敗戦後の日本には美的なインテリアという感覚がありませんでした。そこから欧米の製品を暮らしに取り入れて生活の豊かさを感じました。一方、日本では地方文化を大事にする地域活性化社会とモノを大切に扱う持続可能な社会がずーっと昔からあります。昔からの生活様式をただ賛美するのではなく、テクノロジーの発展で家事が格段に楽になり、時間に余裕ができた分、「丁寧な暮らし」を改めて見直し始めているのが今の日本なのです。


そこには価値あるヨーロッパの製品を根気よく丁寧に紹介してきたアクタスのようなショップが存在していました。そして、これからは「日本の丁寧な暮らし」が世界の豊かな暮らしをリードすることでしょう。

 

 


https://www.actus-interior.com/

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(文:KEIKO YANO (矢野 恵子)  /  更新日:2021.04.19)

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