清里フォトアートミュージアム「ロバート・フランク展 - もう一度、写真の話をしないか。」開催


《映画のプレミア、ロサンゼルス》1955年 Movie Premiere, Los Angeles, 1955 (C) Robert Frank

 

 

【編集部おすすめコト】
~日本国内では23年ぶりの大規模な個展~
“伝説の写真家”ロバート・フランクの作品106点を展示!
「ロバート・フランク展-もう一度、写真の話をしないか。」

清里フォトアートミュージアムにて開催 


 


清里フォトアートミュージアムでは、2019年6月29日(土)~9月23日(月・祝)まで「ロバート・フランク展 - もう一度、写真の話をしないか。」を開催します。

1995年(平成7年)7月、建築家栗生明氏による設計で山梨県清里にオープンした清里フォトアートミュージアムは、森の中の路を進むと、高台に忽然と姿を表し周辺の自然と建物が調和したミュージアムです。そんな自然の中で豊かな時間を過ごす事ができる展覧会を紹介します。

 

ロバート・フランク(1924、スイス)は、世界で最も重要な写真家の一人として、同世代および後進の写真家に、多大な影響を与えてきました。代表作の写真集『アメリカ人』(1958)を発表後、映画制作へと身を転じ、写真展の開催が比較的少ないことから“伝説の写真家”と称されています。本展では、当館の収蔵作品より、これまで写真集に掲載しなかった未発表作品を含め、全106点を展示します。


 

清里フォトアートミュージアムで、9月23日まで展覧会を開催中の
ロバート・フランク氏のご逝去を悼む 
 

写真家ロバート・フランク氏が、2019年9月9日、カナダのノヴァ・スコシアにて逝去されました。享年94歳でした。清里フォトアートミュージアムでは現在「ロバート・フランク展 - もう一度、写真の話をしないか。」を開催中であり、突然の訃報に接し大変驚くとともに、謹んで哀悼の意を表します。フランク氏は写真の歴史に大きな変化をもたらした偉大な写真家でした。


本展開催にあたり、今年の4月18日に当館学芸員2人が、未発表作品を含む当館収蔵の全フランク作品を持参し、ニューヨークのご自宅を訪れました。フランク氏は、自身の手元を離れてから約40年が経過したプリントの一点一点に目を通しました。彼は過去の様々な苦い経験から、自分の作品の発表に関して非常に強いこだわりを持っていることが知られています。私たちはできる限り誠意を尽くして展覧会の準備にあたってきましたが、フランク氏もそれに真摯に応えてくれました。当館館長である写真家の細江英公もフランク氏とは親交があり、2010年にニューヨークのご自宅を訪ねていますが、今回の展覧会の実現に際して、写真家同士の信頼が大きな後押しとなりました。


本展は、9月23日までという残り少ない会期ではありますが、私たちは偉大な写真家の作品を日本の多くの方にご覧いただくことが叶った喜びと誇りを胸に、会期終了まで、ご来館の皆様をお迎えしたいと思います。みなさまがフランク氏のレガシーを体感し、その今日的意義を語り継いでいただくことが作家へのなによりの追悼となると、私たちは信じています。
 

 

 

| 展覧会の見どころ

<作家自身によるヴィンテージ・プリント>
「ヴィンテージ・プリント」とは、「後年プリント」に対して、撮影後あまり時間をおかずに制作されたプリントの呼称です。ネガフィルムがあれば何度でも同じ写真が焼けるのでは?と思われるかもしれませんが、プリンティングは、さまざまな要素によって変化します。撮影時に近いプリントは、その時の作家の心境や作品へ込めたエネルギーを最も明確に表し、深い印象をもたらす場合が多く、再生不可能なため大変貴重です。


<日本国内では23年ぶりの大規模な個展>
日本での大規模な展覧会は1995年の横浜美術館にて開催された「ロバート・フランク:ムーヴィング・アウト」展以来23年ぶりとなります。展覧会の開催が少ない理由には、フランク作品のプリントが希少なために市場価値が高騰したことも原因のひとつと考えられています。


<関連資料:雑誌「ライフ」のコンテストに応募した20代>
1951年、雑誌「ライフ」が15周年記念として行った若手写真家コンテスト(30歳以下対象)へ応募した若き日のロバート・フランク。選考委員には、写真家 / ニューヨーク近代美術館写真部長エドワード・スタイケンやアルフレッド・アイゼンシュタットらの名前も見られます。友人であり写真家のエリオット・アーウィットと共に入賞した当時の資料などもあります。

 


《11丁目》1951年 11th Street, 1951 (C) Robert Frank

 

 

| 展覧会概要

写真家ロバート・フランクは、世界で最も重要な写真家の一人として、多くの同世代および後進の写真家に影響を与え、そして現在も、世代を問わず熱烈に支持されている写真家です。

1947年、フランクは、23歳でスイスからアメリカ・ニューヨークへ移住し、写真家としてのキャリアをスタートさせます。その後、約15年間集中的に写真を撮影しました。生地スイスからニューヨークへ渡り、南米やヨーロッパへの撮影旅行を重ねた後、自分の写真集を世に出す決意とともに再びアメリカへ戻ります。そして、1958年に写真集『アメリカ人』を発表。自身は、発表直後に映画製作へと身を転じますが、『アメリカ人』は、かつてない大きな衝撃をもたらし、20世紀の写真を大きく変貌させるきっかけとなりました。

 


《リバー・ルージュの自動車工場 ― デトロイト》1955年 River Rouge Plant, Detroit, 1955 (C) Robert Frank



《テネシー州チャタヌーガ》1955年 Chattanooga, Tennessee, 1955 (C) Robert Frank from The Americans


『アメリカ人』は、スイスから移住したばかりの若者がアメリカに強く感じた疎外感、不安、そして孤独。写真に表現されたざらざらとした質感と憂鬱な空気は、戦後アメリカ社会の様相を鋭くあぶり出した写真として世界に衝撃を与えました。1950年代のアメリカは、戦後の繁栄と自信にあふれ、一方で黒人差別に反対する公民権運動が勃発。人種問題や戦後の世代・文化が錯綜する、大きな変貌の渦中にありました。アメリカの社会的弱者、恥部的な実態を露にし、しかも写真のシャープさや美しい階調を求めない写真による『アメリカ人』は、米国内で、まさに“炎上”の様相を呈し、酷評されたのです。

 


《聖ジェナーロ祭、ニューヨーク》1948年 San Gennaro, NYC, 1948 (C) Robert Frank
 


《聖フランシス、ガソリンスタンド、市役所 - ロサンゼルス》1955年 St. Francis, gas station, and City Hall - Los Angeles, 1955 (C) Robert Frank from The Americans


しかし、即興詩をつぶやくように直観的なイメージ群と、それらを写真集の中で構成する手法は、全く新たな表現世界を提示していました。ドキュメンタリーでも、メッセージでも、決定的な瞬間でもなく、写真家自身が「何かを感じたら撮る」。あくまでも主観的な写真は、それまでの写真のスタイル、枠組みに捉われない自由さに溢れていました。しかも、大胆さだけでなく、細部までの繊細さや緊張感を併せ持つフランクの写真は、同世代の若者やアーティストを中心に、驚きと共感を得るまでに時間はかかりませんでした。やがて『アメリカ人』は、広く世界に受け入れられ、現在では最も版を重ねた写真集となりました。フランクによる主観的な表現の登場は、現代写真につながる劇的な変化をもたらしたのです。


『アメリカ人』の序文を書き、フランクと同時代の作家ジャック・ケルアックは「ロバート・フランクにおれからのメッセージ:あんた、目があるよ。」(『アメリカンズ』山形浩正訳、宝島社、1993年)とその魅力を表し、また、当館館長であり写真家の細江英公は「見ている人間が見られていると感じる。怖い写真家だ」と、瞬時に本質に迫るフランク作品の特徴を表しています。
 


《パリ》1950年 Paris, 1950 (C) Robert Frank
 


《チューリッヒ》1952年 Zurich, 1952 (C) Robert Frank
 


《ベン・ジェームズ、炭坑夫》1953年 Ben James, Miner, 1953 (C) Robert Frank


フランクは現在94歳ですが、写真・言葉・グラフィックワークを自在に操った写真集が次々と発刊されています。しかし、展覧会の開催は比較的少なく、日本国内での大規模な展覧会は本展が23年ぶりとなります。

本展は、当館が収蔵する多数のフランク作品の中から、これまで写真集に掲載しなかった未発表の作品を含めるなど、作家の現在の意向を強く反映した内容となっています。作品はすべて撮影当時に近いヴィンテージ・プリントで、当館がまとまった形で展示をするのは、本展が初めてとなります。

これら自選の作品によって、若き写真家が、模索と挑戦を重ねた初期の歩みと眼差しを辿ります。
 

■展示作品
『アメリカ人』掲載作品…9点
アメリカ       …70点
ペルー       …3点
パリ         …6点
イギリス       …7点
イタリア       …3点
スペイン       …7点
スイス        …1点
全106点
 

■ロバート・フランク略歴
1924年、スイス・チューリッヒ生まれ。1947年、23歳の時にアメリカ・ニューヨークに移住。雑誌「ハーパーズ・バザー」でファッション写真に従事する一方、南米やヨーロッパ各地への撮影旅行を重ねる。1953年にファッション誌の仕事を辞め、フリーランス写真家として「ライフ」「フォーチュン」などの雑誌に寄稿。1955年・56年にグッゲンハイム財団の奨励金を受給し、9ヶ月間アメリカ国内の30州を撮影しながら車で旅し、1958年にフランスで写真集『Les Americains』を、翌年アメリカ版『The Americans』を出版。移民者の目から見たアメリカの姿をありのままに写した一連の写真は反アメリカ的であると酷評されたが、フランクによって示された個人の視点に基づく主観的な写真表現は、リー・フリードランダー、ダイアン・アーバス、ゲイリー・ウィノグランドら後進の写真家に大きな影響を与えた。現在94歳。ニューヨークとカナダのノバ・スコシア州にて、美術家のジューン・リーフとともに暮らしている。

 


| 会期中のイベント

■K・MoPAチャリティ・ライブ2019
ピーター・バラカン Live DJ 「ロバート・フランクの写真・アメリカ・それから」

独自の視点と音楽観で世界の多様な音楽を紹介しているピーター・バラカンさん。バラカンさんが、ロバート・フランクの名前を初めて知ったのは、ローリング・ストーンズが1972年にリリースしたアルバム「メインストリートのならず者(Exile On Main Street)」のジャケット写真でした。その後、フランクの写真集『アメリカ人』を見て、「アメリカを、アウトサイダーの目で、とても詩的な感性で観察した写真」に、さらに印象を深めたとか。「レコードというものは、時間の流れの一瞬や、ある時点のスナップ・ショットのようなもの」と言うバラカンさん。写真もレコードも、アーティストが生み出す“ワンシーン”であり、繰り返し楽しむことができ、見る・聴く度に新しいイメージを描き出してくれるものではないでしょうか。

本展展示の作品には、店のウィンドウに飾られたレコードなど、当時の音楽の気配も写し込まれています。実際にどのような音楽が愛されていたのか、また、バラカンさんが、ロバート・フランクの写真からインスピレーションを得た曲をセレクトし、写真、音楽、時代が様々に交差する世界をナヴィゲートしていただきます。

日時:9月21日(土) 14:00~16:00(途中休憩あり)
会場:清里フォトアートミュージアム・音楽堂
出演:ピーター・バラカン(ブロードキャスター)
参加費: 一般 2,000円(入館料を含む)
            小・中・高校生は無料 
            友の会・会員は無料

要予約  : 先着順 100名 / 全席自由
お申し込み: info@kmopa.com まで
*8月1日(木)申し込み受付開始 メールのみにて承ります。
*お申し込みは、お一人様2枚までとさせていただきます。
*申し込み先着順で、定員になり次第締め切らせていただきます。

本チャリティの収益は、世界で活躍する写真家・井津建郎が創設し、当館が支援する「ラオ・フレンズ小児病院」(ラオス)と、東日本大震災の被災者支援団体「むすびば」(山梨)に寄付します。

 

■ピーター・バラカン プロフィール
1951年ロンドン生まれ。ロンドン大学日本語学科を卒業後、1974年来日。音楽出版社の著作権業務に就く。1986年よりフリーのブロードキャスターとして活動し、現在「ウィークエンドサンシャイン」(NHK-FM)、「Barakan Beat」(InterFM)、「ライフスタイル・ミュージアム」(Tokyo FM)、「ジャパノロジー・プラス」(NHK BS1)をはじめ多くのテレビ、ラジオ番組に出演している。 2014年からは、自身が監修する都市型の音楽フェスティバル「Live Magic」も開催。主な著書に『ロックの英詩を読むー世界を変える歌』(集英社インターナショナル)、『魂(ソウル)のゆくえ』(アルテスパブリッシング)『ぼくが愛するロック名盤240』(講談社+α文庫)などがある。
http://peterbarakan.net/
 
 
本展は、フランク作品の歴史的価値と今日的意義を明確にする貴重な機会となると確信し、また、あらためて写真との深い対話を交わす機会となるでしょう。

 

 

【開催概要】
展覧会名:ロバート・フランク展 - もう一度、写真の話をしないか。
会期 :2019年6月29日(土)~9月23日(月・祝)
休館日 :毎週火曜日、7月・8月は無休
会場 :清里フォトアートミュージアム
         山梨県北杜市高根町清里3545-1222
TEL:0551-48-5599
開館時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)
入館料 :一般 800円(600円) 大学生600円(400円) 中・高生400円(200円)
           友の会・会員無料
           ( )内は20名様以上の団体料金
           家族割引 1,200円(2名~6名様まで)

<会期中の無料デー>
7月7日(日)…開館記念日
7月28日(日)…親子の日
8月11日(日・祝)…山の日

※親子の日とは…7月の第4日曜日
年に1度、親と子がともに向かい合う日があったっていい。その日を通じて、すべての親子の絆が強められたらすばらしい。そんな願いを込めて、2003年に、米国人写真家ブルース・オズボーン氏の呼びかけで始まったのが「親子の日」です。 http://www.oyako.org


<交通のご案内>
車にて:中央自動車道須玉I.C.または長坂I.C.より車で約20分
JR :中央本線 小淵沢駅にて小海線乗り換え 清里駅下車、車で約10分

 

 

 清里フォトアートミュージアム(K*MoPA)

1995年(平成7年)7月、建築家栗生明氏による設計で山梨県清里にオープンした。八ヶ岳、富士山を望む豊かな自然環境を持つ敷地で、建築の内部空間と領域感のある外部空間としての庭とをパッチワークのように組み合わせることを意図し、ランドスケープ、家具、建築、それぞれが相互干渉し合うことにより、場の力が増幅され、環境の全体性の獲得を目指した建築である。森の中の路を進むと、高台に忽然と姿を表すミュージアム。周辺の自然と緩やかに連続していくことを目指して、建物の内部空間と18カ所に散在する庭などが設計されている。
https://www.kmopa.com/

 

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(文:制作_インテリア情報サイト編集部-3  /  更新日:2019.06.08)

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