ミラノサローネ2011 出展企業特集3

 

 

 

世界最大規模の家具見本市「ミラノ・サローネ」は、今年で50周年を迎え、2011年4月12日から17日までの6日間、イタリア・ミラノのフィエラ(本会場)とフォーリ(市内会場)で開催されました。

 新しい日本の為にデザインができることと題し、シリーズで特集していきます。今回はミラノサローネに出展した日本のデザイナーたちに焦点をあて、日本らしさにこだわるベテランデザイナーと未来を担う若手デザイナーたちを取材しました。

継続が「かたち」になり、サローネで実る〜日本のかたち展〜

2007年から5年連続でミラノサローネに出展し続けている「日本のかたち展」。東京と京都・大阪の工芸作家・陶芸家・建築家・インテリアデザイナーなどが集まり、展示ごとに共通のテーマを設け、それぞれが自身の作品に落とし込み、制作するというもの。日本の伝統的なかたち、美意識、感性を現代のインテリア空間やライフスタイルに新しく機能する“しつらい”として提案しています。

今年のテーマは、「INTERIOR&GARDEN」。今回は、造園家・建築家・インテリアデザイナーから、和紙造形家や陶磁器デザイナーまで、各界のクリエイターが参加。それぞれのテーマ解釈・コンセプトメイキング・素材使い・デザイン提案などの見所とともに、ふだん接点の少ないジャンルで活躍する作家・クリエーターが一堂に会し、刺激しあう展示空間が創り上げられていました。

会場全体写真 / 右上写真 庭 「かけら」園三 / 右下写真「SUKOSHI AKARITE」飯田 章乃

「Ho Ta Lu」草木 義博 / 右写真「日本のカーテンのための房飾り」 玉井 絵里子

「日本のかたち展」は、新しいモノばかりを追うのではなく、日本の“古き良き”モノを伝承し、現代でも誇れるモノに「リデザイン」しようという試み、と事務局の草木義博氏。

自身も、プロダクトだけではなく、建築・インテリアなど住宅や店舗のデザインも手がけている空間デザイナーであり、日本独特の空間や場の作り方の良さをヨーロッパに紹介していきたいといいます。草木氏の作品「Ho Ta Lu」は、和紙で作られた箱の中の蛍を表現。

大中小の箱を炭色の畳の上に置いた様子は、竜安寺の石庭を彷彿させます。床から見る「低い視線」を意識した、と草木氏。その他にも、スツールやチェアや陶磁器など実用的な作品や、“手のひらサイズ”のミニマルな庭を表現したデスクトップガーデン「garden-nano」など、日本伝統の美意識をモダンに表現する作品が展示されていました。ジャパンデザインのシンプルやミニマルは、欧州でもトレンドになっている今。
今年で5回目という積み重ねがその一助を成していると感じられた、熱気のある会場でした。

「garden-nano」曽和 治好
 

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(文:KEIKO YANO (矢野 恵子)  /  更新日:2011.05.20)

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