【REPORT】 インゲヤード・ローマン展 レポート

 

【REPORT】
東京国立近代美術館工芸館展覧会
日本・スウェーデン外交関係樹立150周年インゲヤード・ローマン展

Sweden-Japan 150th Anniversary Ingegerd Raman

 

 

日本とスウェーデンの外交関係樹立150周年を記念して東京国立近代美術館工芸館では2018年9月14日(金)- 12月9 日(日)まで、「日本・スウェーデン外交関係樹立150周年 インゲヤード・ローマン展」を開催。その展覧会の様子をご紹介します。

 

本展は2016年にスウェーデン国立美術館で開催されたものをベースに、日本のガラスメーカー木村硝子店のためのシリーズ(2017年)などの最新作を加え、インゲヤード・ローマン氏のその幅広い活動を日本で初めて本格的に紹介する展覧会です。

 


スタジオでのインゲヤード・ローマン
写真:Anna Danielsson/Nationalmuseum Stockholm
 

1943年、ストックホルム生まれの北欧を代表する世界的デザイナーであり、陶芸家としても知られるインゲヤード・ローマン氏。
 

インゲヤード・ローマン略歴
1943年 ストックホルム(スウェーデン)生まれ
1962年 「スウェーデン家具の父」と言われる家具デザイナーのカール・マルムステンが創立したカペラゴーデン手工芸学校(スウェーデン)で学ぶ
1962-65、66-68年 Konstfack(コンストファク/スウェーデン国立芸術工芸デザイン大学)で学ぶ
1965-66年 ファエンツァ国立陶芸学校(イタリア)で学ぶ
1967年 南スウェーデン・スコーネで陶業製作を始める
1968-72年 ガラスメーカーJohansfors(ヨハンスフォース)社に在籍
1981-98年 ガラスメーカーSkruf(スクルフ)社のデザイナーとして活動
1983年 グラスジャグ、ロウソク立て(ともにスクルフ社)でエクセレント・スウェディッシュ・デザインアワードを受賞(以後、受賞を重ねる)
1995年 スウェーデン政府よりプロフェッサーの称号を授与
1998年 芸術のすぐれた業績に対しスウェーデン王室よりプリンス・オイゲン・メダルを授与
1999年- ガラスメーカーOrrefors(オレフォス)社のデザイナーとして活動を開始
2016年 イケアよりVIKTIGT/ヴィークティグトコレクション発表
           有田焼創業400年記念事業「2016/ project」に参加
2017年 木村硝子店よりインゲヤード・ローマンコレクション発表

 

 

 

| 展示会場全体風景

北欧の伝統あるガラスメーカーSkruf(スクルフ)やOrrefors(オレフォス)、イケアのためのデザイン、日本でのプロジェクト、建築家との協働プロジェクトまで、約180点が展示されています。デザインにあたっては、まず「自分が使いたいもの、使い勝手の良いもの」を考え、「使われてはじめてデザインの価値が生まれる」という作家の理念に基づいて、中には発表以後も作家自身が日々使い続け、デザイン修正を重ねた作品もあります。

 


 

今回の展示は、東側の窓をふさがずガラス製品を自然光で見られるように工夫されていました。また工芸館ではめずらしく、展示品をガラスケースには入れず材質の異なるワークテーブルの上に直に置き、直接閲覧できるようにしています。

 



展示デザインを手掛けたのは、ストックホルムのグッチやルイ・ヴィトン、京都のスフェラ・ビルといった建築、ベルリンのスウェーデン大使館のインテリアデザインなどもいる手がけ、建築分野にとどまらず活躍の場を広げて世界的に注目されている気鋭の北欧建築家グループ「Claesson Koivisto Rune (クラーソン・コイヴィスト・ルーネ)」。


CKRとして知られるClaesson Koivisto Rune (クラーソン・コイヴィスト・ルーネ)

 

【関連記事】
タイム アンド スタイル ミッドタウン店(六本木)では、スウェーデンのデザインユニット、 CKR(クラーソン・コイヴィスト・ルーネ)が手掛けた建築プロジェクトのプロセス展を開催

 

 

| 北欧を代表する世界的デザイナー/陶芸家を紹介する
        日本初の大規模展覧会 本展のポイント

 

自らを“form-giver”(形を与える者)と呼ぶ彼女の物づくりの魅力に迫ります。
 

■ ガラスメーカーとのデザインワーク

“My work is always a link between simplicity, function and aesthetic values.”
シンプルであること、機能的であること、そして美しさ、それをつなぐのが私の仕事。

ローマンは、1980年代以降、スウェーデンを代表する伝統あるガラスメーカーSkruf(スクルフ)社やOrrefors(オレフォス)社へデザインを提供し、数々の賞を受賞しています。
 

《花瓶》  Orrefors(オレフォス)

 


Skruf(スクルフ)社

 


ポンド Orrefors(オレフォス)

 


イケアのためのデザインした製品《VIKTIGT/ヴィークティグト》 2016年イケア
 


 

■ 陶芸

1960年代にイタリアで陶芸を学んだローマン氏は、南スウェーデンの自宅にかまえた工房で陶器を製作しています。初期の頃から現在まで繰り返し手がけている《ボウル》は、自分のことを「Ceramic artist(陶芸家)ではなく、Potter(陶工)」というローマンにとって、特別な存在。轆轤(ろくろ)に向かう自身の手と陶土のあいだから生み出される形が、その時々の自分を映し出すのだといいます。陶工として培った土や釉薬、焼成についての経験と知識は、陶磁器のデザインにも生かされています。
 

《ボウル》1999年インゲヤード工房

 

ほとんどの作品が重ねることができる機密に製作されたものばかりです。

 

 

■ 水差し~大切なデザインコンセプトの一つ「水」

「水」は生活に密接にかかわっており、人間にとって不可欠な水は、作家にとって大切なデザインコンセプトの一つ。ローマン氏が手がける仕事の中でそれを特に意識させるのがガラス製品のデザインです。

ガラス製品の中には多くの水差しがあります。

 

 

■インゲヤード・ローマン氏自身による和室展示

インゲヤード・ローマン氏自身による工芸館の展示和室(設計:谷口吉郎)

初来日の1987年以来日本は、ローマン氏のおき入りの場所です。

 

インゲヤード・ローマン氏の作品は一貫性があります。色も形もきわめてシンプルものばかりで機能性を重視した日常づかいのガラス食器や陶磁器ですが凛とした美しさが感じさせられます。日常とデザインを切り結ぶ豊かな思考の一人の使い手としての真摯な視点が感じられます。

展覧会開催の東京国立近代美術館工芸館は皇居の森の緑豊かな場所にあります。緑の中でインゲヤード・ローマン氏の作は何十倍にも輝いて見えます。その自然の豊かさを感じながら展覧会を閲覧できるまたとない機会です。是非足をお運びください。

 


 

 

■東京国立近代美術館工芸館について

工芸館は、日本で最初の国立美術館である東京国立近代美術館の分館として昭和52年に開館。近現代の工芸およびデザイン作品を幅広く集め、総数約3,800点(平成30年3月31日現在)を収蔵。また工芸館の赤レンガの建物は、旧近衛師団司令部庁舎(明治43年築)を保存活用したもので、重要文化財に指定されています。

公式HP:http://www.momat.go.jp

(文:インテリア情報サイト編集部-1  /  更新日:2018.09.19)

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