【コラム&フォト・レポート】ダッチデザインは伝統と革新でなぜ成功したのか


現在ミキモト本店6階ミキモトホール(銀座4丁目)で、「ダッチデザインの伝統と革新」が開催されている。

コンセプチュアル・デザインと同意語で称されるオランダのデザイン=「ダッチデザイン」は、1990代頃から注目され、その自由な発想と斬新なアイデア、新しいテクノロジー、個性的なフォルムが特徴である。

オランダ人は大量生産される消耗品に関しては質素倹約であるが、長く使えるものには大金をおしまない。これが質実剛健なオランダ人気質である。またイノベーションに対する意識には長い伝統があるとも言われている。遠い昔、荒れる海や水害から身を守る為、優れた運河や堤防のシステムを構築してきた。そうした背景から、この人口密集国に住む人々の生活環境は、必然と独創的な解決策を生み出す。彼らは昔ながらの技術や素材を使って、新しいプロダクトを創り出している。たとえば、レース編み、鉤針編み、セラミック、有名なデルフトブルーのスタイルなど優れた工芸技術と、独自のアイデアや遊び心溢れるデザインで融合されたものが数多くある。
 


ダッチデザインは、近年様々な分野で世界中から注目されており、ドローグデザイン主要デザイナーたちの活動に端を発し、個性豊かなデザイナーが活躍している。特にマルセル・ワンダースが率いる「moooi」ブランドは日本でも人気がある。

「ドローグ」とは1993年にオランダで発足し、現在も存続する、デザインの新動向を巡る人々のゆるやかな活動体およびブランド名のことで、この分野では昨今オランダが世界のデザイン界を牽引している。これは国が文化産業をバックアップするクール戦略の成功例である。このように国を挙げてのクール戦略は日本でも学ぶものが大きい。

また質素倹約や質実剛健は、戦前は日本でも美徳とされていた。伝統を大事にしながら、革新を続けるオランダのデザインは、日本のデザインにも共通するものが多いのではないだろうか。

今回展示されているアート性の高い家具や陶磁器は、東京のオランダ王国大使公邸のために選ばれたものである。

展示会場を家とたとえ、ダイニングルーム、ベッドルーム、リビングルーム、玄関と、ユニークな会場構成での展示となっている。

その他、ファッション、ジュエリー、テキスタイルなど、伝統的な技術や素材を用いながら、約50名のデザイナー達がそれぞれの個性を生かしてデザインし、誕生した斬新な作品約70点が展示されている。


「ダッチデザインの伝統と革新」は2014年3月27日(木)~4月23日(水)まで開催。

開催情報はこちら

 

 

(文:KEIKO YANO (矢野 恵子)  /  更新日:2014.04.06)

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