リノベーション体験記vol.3―マンションに無垢の床材を貼る

リノベーション体験記


「築25年マンション、95㎡、眺望よし、東南東向きの角部屋」という物件をリノベーション前提で購入したインテリア情報サイト編集部スタッフK一家の、家が完成するまでのリノベーション体験記。

この記事では、マンションのリノベーションの一例として、スタッフKが体験談を綴っています。


flooring_21.jpg床には必ず無垢のフローリングを使いたいと思っていました。
家の中ではできるだけ素足でいたいので、足の裏に伝わってくる感触は大切なポイント。安価な複合フローリング※1にありがちな、ペタペタするコーティングは嫌でした。

またマンションに多い「遮音フローリング※2」の、踏むとふかふかと沈み込む感触もこれまた嫌でした。わが家もリフォーム前はこの遮音フローリングが貼られていて、歩くととても違和感がありました(夫はぜんぜん気にならないようでしたが)。

こんな床イヤ、絶対無垢材に張り替える!…と、私はひとり息まいていたのです。


 

マンションに無垢材を貼ることは、簡単ではありません


ところが、マンションで無垢のフローリングを貼るには、意外に注意が必要なのです。

flooring_1.jpg電車になりきって走り回り歌い踊る2歳男児のいるわが家。音のことで周りに迷惑をかけたくないですから、床の遮音に関しては慎重になる必要があります。遮音フローリングがイヤだろうと何だろうと、遮音性は確保しないといけないわけです。

無垢のフローリングは肌触りのよさ、調湿作用、断熱性、使い込むほどに増す表情など魅力の多い床材ですが、遮音性能はありません。そのため、音のトラブルを避けたいマンションなどで無垢のフローリングを使うためには、その足りない遮音性能を施工でカバーしてあげないといけないのです。

 


「遮音マット」の登場でマンションにも無垢材が可能に

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そもそもマンションでは、「床は遮音等級L-45※3以上にすること」などの規制が管理組合によって設けられ、それを満たすことを証明する書類の提出が求められることが珍しくありません。それをクリアするために使われてきたのが、前述の遮音フローリング。これをコンクリートスラブの上に直接接着剤で固定していく「直床工法」が、手軽さから一般的になっています。

以前は「無垢材で規制をクリアするにはコストのかかる「置き床工法」(後述)などにするしかなく、そのためマンションに無垢材はハードルが高い」とされていました。

 

しかし最近ではゴムやフェルトでできた様々な「遮音マット」が開発され、マンションの床にも以前より気軽に無垢の床材を貼れるようになっています。
 

shaonmat.jpgフローリングの下にこれを敷き込めば、遮音フローリングを貼ったのと同じように遮音性能が得られます。床下という「見えない部分」である遮音マットにお金をかけるのはなかなか勇気が要ることですが、入居後のトラブルの可能性を減らすために、ここは出し惜しみはNGです。

しかしやはりデメリットはあります。遮音性能が上がるほど、歩いた時の例のふかふか感が増すのです。遮音フローリングも同じですが、基本的に柔らかい素材で作られていますから、踏めば沈むような感触があるのは当然といえば当然ですね。もっとも、できるだけふかふか感を抑えて開発されている遮音マットもあるようですが。


 

もうひとつの方法「置き床工法」

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と、ここまで直床工法についてお話しておいて何ですが、実はわが家の床は直床ではありません(vol.1で触れた「住宅診断」で分かったことです)。購入した時点で、スラブの上に防振ゴムのついた支持ボルトを置き、その上に合板と遮音フローリングが貼られた(置き床工法)、二重床になっていました。
二重床は床面とスラブとの間に空間ができるため、スラブに直接衝撃が伝わらず遮音性が高い、という説明はよく見かけます。実際わが家も、歩き心地は悪いものの音の響きはかなり抑えられていました。この構造なら、遮音フローリングを撤去してかわりに遮音マット+無垢フローリングを置いてもかなり遮音性は保たれるのではないかな…と思いました。

しかし、もともと直床工法で造られていた物件を二重床にする場合は、やはりコストが高くつくこと(ドアなど建具を作り直す必要が生じるため)、以前より天井高が低くなって圧迫感が出ることなどのデメリットがあります。


 

置き床工法は「太鼓現象」に注意!


それに本当は、二重床だから絶対に遮音性が高いとは言えません。施工精度が悪いと「太鼓現象※4」という現象が起き、極端に遮音性が落ちることがあるからです。二重床のメリットは遮音性よりも、(床下の空間内で設備配管を自由に動かせるから)将来間取りを変更しやすいなど、別のところにあると考えた方がよいようです。

しかしこの物件を買おうとしていた当時の私は不勉強で、そんなこととは知らず「二重床だから防音OK!トクしちゃったラッキー!」などと喜んでいたのでした…実際に行われた工事については、回を改めて説明します。

 

さて、次回からいよいよわが家のリノベーションが動き出します。設計者さんを探し、要望を家族会議で整理して、初顔合わせに行くところあたりまでお話しようと思います。

 

※1 複合フローリング
合板や集成材などの基材の表面に天然木の単板や木目を印刷したシートなどを貼った床材。安価なものは、表面に傷がつくと見栄えが悪く修復も不可能なので、傷防止に厚めのコーティングが施されているものが多い。    
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こちらから。

※2 遮音フローリング
複合フローリングの裏にフェルトなどの遮音材を貼り、防音性を高めたもの。遮音材にクッション性があるので、

※3 L値
上階の床で生じる衝撃音が下階でどの程度に聞こえるか、その指標となる遮音等級のこと。数値が小さいほど遮音性能は高い。スプーンを床に落とした時などの軽量床衝撃音(LL)と子供が飛び跳ねたりすることで発生する重量床衝撃音(LH)とがあり、「L-45」という表記は実際は「LL=45」を指す。しかし実際にマンションで問題になるのはLHの方が多いため、注意が必要。
近年、製品の実際の遮音性能を正確に表していないケースが指摘されているが、実際はまだまだL値で遮音等級が説明されている場面が多い。

※4 太鼓現象
床面とコンクリートスラブが太鼓のように共振し、床面で発生した音が増幅されてスラブ側に伝わってしまう現象。

 

 

 

※この記事は中古のマンションをリノベーションしたインテリア情報サイト編集部スタッフの執筆によるものです。

記事監修 矢野 恵子

住宅リフォーム会社勤務を経て1993年独立。2000年有限会社アトリエケイアンドワイ設立。住宅・店舗の企画デザイン設計業務の傍ら、会社設立と同時に業界育成事業K&Yインテリアデザインスクールを開校。2009年より長年のインテリア業界での経験を活かした情報と最新情報を発信するWEBサイト「インテリア情報サイト」をオープン。現在インテリア系企業のデザインコンサルタント業務を中心に活動する。



有限会社アトリエケイアンドワイ代表取締役。
K&Y INTERIOR DESIGN SCHOOL 校長 。
インテリア情報サイト編集長。

(文:インテリア情報サイト編集部-1  /  更新日:2014.07.27)

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