パリの美術館「ブルス・ドゥ・コメルス」オープンとロナン&エルワン・ブルレックの「ロープ チェア」


CourtesyBourse de Commerce -Pinault Collection & Studio Bouroullec
© TadaoAndo Architect & Associates, Nineyet Marca Architectes, Agence Pierre-Antoine Gatier, Studio Bouroullec

 

 

パリの新現代美術館
「ブルス・ドゥ・コメルス」のオープンと
ロナン&エルワン・ブルレックの「ロープ チェア」



 

世界的建築家である安藤忠雄が、フランスの建築事務所NeM のLucie Niney と Thibault Marca、歴史的建造物の専門家であるPierre-Antoine Gatierとの協働設計を行い、パリで初めての、個人所蔵の現代アートコレクションを展示する私設美術館として改修されたパリの新現代美術館「ブルス・ドゥ・コメルス」がついに開館。「ブルス・ドゥ・コメルス」の家具選定とインテリアの一部は、パリを拠点として活動するデザイナーであり、2015年よりアルテックと協働しているロナン&エルワン・ブルレックが担当しました。

 

パリの新現代美術館「ブルス・ドゥ・コメルス」
www.pinaultcollection.com/en/boursedecommerce


ロナン&エルワン・ブルレックが手掛けた椅子「ロープ チェア」
フランソワ・ピノーの指名により、「ブルス・ドゥ・コメルス」の家具選定やインテリアの一部を担当したのは、パリを拠点として活動するデザイナー、ロナン&エルワン・ブルレックです。ロナン&エルワン・ブルレックは、2015年に「カアリ」シリーズ、2017年にテキスタイルデザイン「リヴィ」をアルテックとともに発表しています。

「『ブルス・ドゥ・コメルス』では、時の流れとさまざまな事象が軽やかに戯れあい、美しいコントラストを奏でます。それは、19世紀の造形、装飾、舗装、木造技術など具体的なものから、石やコンクリート、ガラスなどの素材、さらに光と影、円形の装飾などより抽象化されたもの、すべてにおいて。内装とインテリアを考える際、装飾をするのではなく、安藤忠雄によるこの稀有な空間のコントラストと融合を乱すことなく、『添える』ということを大切にしました。」ロナン&エルワン・ブルレック
 


CourtesyBourse de Commerce -Pinault Collection Photo: Marc Domage
© TadaoAndo Architect & Associates, Nineyet Marca Architectes, Agence Pierre-Antoine Gatier, Studio Bouroullec
 

CourtesyBourse de Commerce -Pinault Collection & Studio Bouroullec
© TadaoAndo Architect & Associates, Nineyet Marca Architectes, Agence Pierre-Antoine Gatier, Studio Bouroullec

 


CourtesyBourse de Commerce -Pinault Collection & Studio Bouroullec
© TadaoAndo Architect & Associates, Nineyet Marca Architectes, Agence Pierre-Antoine Gatier, Studio Bouroullec
 

ロナン&エルワン・ブルレックがアルテックとともに開発した「ロープ チェア」は、静かな伴奏のようなそのイメージにぴたりとはまる椅子でした。「ブルス・ドゥ・コメルス」のために、本体からロープまですべてグレーで統一された特別バージョンが考案されました。

 


CourtesyBourse de Commerce -Pinault Collection  Photo: Marc Domage
© TadaoAndo Architect & Associates, Nineyet Marca Architectes, Agence Pierre-Antoine Gatier, Studio Bouroullec


伝統的なパリの通り沿いの街路樹のように、美術館内の通路から建物間の連絡通路に沿って並んで設置され、来場者を迎えます。専門的な最新の技術を、洗練された芸術的なデザインに落とし込むことで知られる彼らは、空間に設置される椅子について、さりげなく芸術的なアクセントを加えるほんのニュアンスととらえました。「ロープ チェア」は、美術館の建造物、空間自体がもつ時代を越えたさまざまなコントラストを緩やかに繋ぐ結び目です。

 


Photo: Studio Bouroullec
Copyright exploitationrightswithArtek
 


Photo: Studio Bouroullec
Copyright exploitationrightswithArtek

2020年に発表された「ロープ チェア」自体が、正反対の要素を掛け合わせることにより構成されています。 最新の技術とクリエイティブな表現、頑丈な構造と柔軟な背もたれ、固く無機質なチューブと有機的なロープ。 腰かける人の体重を支える背もたれにロープを応用することで、人それぞれに合わせた快適性を生み出します。
 


Photo: Studio Bouroullec
Copyright exploitationrightswithArtek


© Studio Bouroullec

 自由に体勢を変えることがきる動性の高い座り方はクリエイティビティを促します。 まるで痕跡を刻むかのように、それぞれの人のフォルムを留めるロープチェアは、座る人によってもまたデザインされるという新たな発想から生みだされています。芸術性(アート)と技術(テクノロジー)の融合を現代に体現するロープチェアは、現代アートとアーティストの創造性が溢れながらも、広く公共に開かれた「ブルス・ドゥ・コメルス」に相応しい一脚です。
 

 

ブルス・ドゥ・コメルス – ピノー コレクション
2 rue de Viarmes, 75001 Paris France ⇒ map
月曜-木曜11:00 -19:00
金曜 11:00 – 21:00
火曜休館
www.pinaultcollection.com/en/boursedecommerce

 

 

 

パリの中心部の新美術館


CourtesyBourse de Commerce -Pinault Collection  Photo: TimelapseGo
 

世界が注目するパリの新現代美術館「ブルス・ドゥ・コメルス」がついに開館。この美術館は、18世紀に建てられた歴史的建造物で、かつては穀物取引所として使用されていました。

「ブルス・ドゥ・コメルス」は、世界屈指の現代アートのコレクターとして知られるフランソワ・ピノーが50年以上の年月をかけて集めてきた現代アートコレクションを展示する美術館です。絵画、彫刻、写真、サウンド・ビデオアート、インスタレーションまで、380名を超えるアーティストのアート作品が含まれます。4世紀に渡る建築と技術の発展を体現するかのように、「ブルス・ドゥ・コメルス」はパリ市内の中心部に佇んでいます。

 

建造物の最も古い部分であるタワーは、16世紀、フランス王妃のカトリーヌ・ド・メディシスに捧げるために造られたと言われています。そのタワーを取り巻く印象的な円形平面状の建築物は、200年を経た18世紀に建設され、穀物取引所として使われていました。その後1812年には、金属とガラスを用いたドーム型の屋根が追加され、1889年の改装を経て、現在の姿に。1949年から2016年までは、建物内にパリ商工会議所も設置されていました。


CourtesyBourse de Commerce -Pinault Collection ©Studio Bouroullec
 


CourtesyBourse de Commerce -Pinault Collection ©Studio Bouroullec

 

CourtesyBourse de Commerce -Pinault Collection  Photo: Maxime Tétard, Studio LesGraphiquants
© TadaoAndo Architect & Associates, Nineyet Marca Architectes, Agence Pierre-Antoine Gatier
 

そして2021年、安藤忠雄(安藤忠雄建築研究所)、NeM (Niney et Marca Architectes)、Pierre-Antoine Gatier、およびSetec Batiment によるチームの設計に基づき、3年に及ぶ工事が行われ、「ブルス・ドゥ・コメルス」はアート作品を展示する美術館として蘇りました。歴史的建造物がもつ美しさを損なうことなく、安藤忠雄とNeMが挑んだのは、円形型の建造物の内部空間に新たな現代建築を挿入することでした。
 


CourtesyBourse de Commerce -Pinault Collection Photo: Marc Domage
© TadaoAndo Architect & Associates, Nineyet Marca Architectes, Agence Pierre-Antoine Gatier

歴史的建造物の中に、入れ子構造のように建設されたコンクリート製のシリンダー状の展示空間、そこは、建築と技術の営み、過去の遺産と現代の創造、過去と現在、そして展示物と鑑賞者の対話の場として機能します。

 

【施設概要】
ブルス・ドゥ・コメルス – ピノー コレクション
2 rue de Viarmes, 75001 Paris France ⇒ map
月曜-木曜11:00 -19:00
金曜 11:00 – 21:00
火曜休館
www.pinaultcollection.com/en/boursedecommerce

 

ロナン & エルワン・ブルレック
ロナン・ブルレック(1976 - )とエルワン・ブルレック(1971 - )は、さまざまな企業と挑戦的な取り組みを続ける、パリを拠点とする世界的なデザイナーです。彼らの仕事は、プロダクトや家具のデザインから空間や建築プロジェクトまで多岐に渡ります。彼らが大切にしていることは、独自のユーモアあふれるデザインの源である手描きによるスケッチと模型、そして、それらデザインソースと製品自体を魅力的なイメージで発信することです。ロナン&エルワン・ブルレックは、アルテックとともに、2015年に「カアリ」シリーズ、2017年テキスタイルデザイン「リヴィ」、2020年「ロープ チェア」を発表しています。
 

アルテックとは
アルテックは1935年、アルヴァ・アアルト、アイノ・アアルト、マイレ・グリクセン、ニルス=グスタフ・ハールの4人の若者により「家具を販売するだけではなく、展示会や啓蒙活動によってモダニズム文化を促進すること」を目的に、ヘルシンキで設立されました。今日、アルテックのコレクションは、フィンランドの巨匠たち、そしてグローバルに活躍する建築家やデザイナーによる家具や照明器具、ホームアクセサリーが揃っています。それらは一様に、機能性に基づき、詩的なまでに明快なデザインです。創業者の精神を受け継ぎ、アルテックは今日でもデザイン、アート、建築の交点に立ち、未来への道を切り開き続けています。

 

(文:VITRA・Artek PR 制作-PR 制作部-3  /  更新日:2021.05.26)

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