浅利幸男 / ラブアーキテクチャー一級建築士事務所「芳賀先生の家」紹介

 

【特集 住宅空間デザイン集】
本駒込の家
浅利幸男 / ラブアーキテクチャー一級建築士事務所
リノベーションで住み継がれる「芳賀先生の家」

 

 

 

日本史学者の故芳賀幸四郎氏の代に本駒込の地に建てられた住宅は、そのご子息で、夏目漱石研究等で知られる日本文学研究者の芳賀徹氏の代で、建築家の故黒沢隆氏の手によって2回リノベーションされました。そして今回、徹氏のご子息の手に渡る段階で、浅利幸男 / ラブアーキテクチャー一級建築士事務所が3回目のリノベーションをすることになった「芳賀先生の家」をご紹介します。

 

黒沢隆設計によるその住宅を現地調査で初めて訪れたとき、薄暗い室内に、所狭しとうずたかく積まれた本の山に驚き、黒沢が標榜していた<個室群住居>と乖離する4LDKという平凡なプランに違和感を感じた。

 

この違和感を解く鍵は、1978年の住宅建築に「芳賀先生の家」として掲載された黒沢自身の執筆にある。

芳賀先生は・・・学問や仕事のうえでも、それを客体化しあるいは対象化して自己の外においてしまわない・・・だから、この家はこうでなければならなかった。

端的に言えば、黒沢の<個室群住居>という概念規定に納まらないほど、芳賀徹が個性的であったと言うことだ。 直接の施主であるご子息は、繰り返された増改築の結果、複数生じた敷地の隙間の非合理性や庭と住宅の非連続、暗い室内等の不満を私に語る。こうして3回目のリノベーションでは、敷地の各隙間は庭のリノベーションと共にことごとく室内と関係付けられ、屋根裏のデッドスペースは採光装置として、「用=意味」を与えられた。
 

芳賀邸は代替わりの度に建替えることなく、リノベーションによって新陳代謝を繰り返す。まるで芳賀家のDNAを守りつつ、個性を尊重するかのように。「本駒込の家」が次の世代に引き継がれるとき、またリノベーションされるであろう。これも一つの「家」のあり方である (浅利幸男)

 

 


ABOUT 建築家 :

浅利幸男 / ラブアーキテクチャー一級建築士事務所
1969 東京都生まれ
1994 武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業
1996 芝浦工業大学大学院建築工学科修士課程修了
1996-2001 相和技術研究所
2001 有限会社ラブアーキテクチャー一級建築士事務所設立

"優れた建築は、その土地の自然や風土、気候と呼応するものであると考えています。我々は全てのジャンルの建築における、固有の「居住性」を重要視します。それは「居住性」をプランや機能だけではなく、光や影、素材、様式など、情緒を左右するものを美学的な視点だけではなく、論理的な視点で解き明かしていくことに他なりません。"
www.lovearchitecture.co.jp
 

 

 

 

(文:インテリア情報サイト編集部-3  /  更新日:2019.03.11)

この記事へのメンバーの評価

  
  • まだコメントがありません。

バックナンバー

Knowledge and Skill

Group Site

ページトップへ