篠原一男建築「から傘の家」ヴィトラキャンパスへ移築


バックミンスター・フラーとジョージ・ハワードによる正多面体の「ドーム」(1975)、ジャン・プルーヴェが手掛けたガソリンスタンドである「ぺトロールステーション」(1953)に続き、「から傘の家」はヴィトラキャンパス内で三つ目の、歴史的建造物の移築例となります。現代の建築家に並び、「から傘の家」を含む三つの歴史ある建築は、ヴィトラキャンパスで体験できる建築の幅をさらに広げ深めてくれます。

 

から傘の家は、前居住者の移転と継承への希望、東京都計画道路に本住宅がかかること等の諸事情を背景に、一般社団法人住宅遺産トラストを介し、偶然の幸福なる出会いからスイスの家具メーカーであるヴィトラが継承し、移築・保存することになりました。

柱と梁の構造による木造建造物は、2020年の夏に解体され、部材ごとに分割されました。使用されていた檜、杉、米松の木材は、その他の部品、材料とともに梱包され、海を渡りヴァイル・アム・ラインへと移送されました。解体、移送、移築、修復、再建まで、篠原一男のアーカイブを管理する東京工業大学の全面的な指示とサポートのもと、2021年9月に始まった再建工事は2022年6月、ついに完成を迎えました。


篠原一男のアーカイブを管理する東京工業大学の全面的な指示とサポートのもと、2020年夏から始まった解体工事を経て「から傘の家」は海を渡り、2021年9月にドイツの地で再建工事が始まりました。そして先月、ついに2022年6月15日に再建と移築が完了。今は、ドイツのヴァイル・アム・ラインのヴィトラキャンパスにて一般の方に向けて広く公開されています。

画像提供:©Vitra & Vitra Design Museum



【基本情報】
1961年竣工
設計者:篠原一男
所在:東京都練馬区早宮1-38-3
構造:津下一英
家具:白石克彦、篠原一男
施工:渡邉建設事務所
家具設計:創健社青島商店天童木工
敷地面積:187.2㎡
建築面積:55.4㎡
構造規模:木造平屋

篠原一男設計から傘の家(1961)移築再建プロジェクト
Team Tokyo Tech
総合監修:奥山信一
プロジェクトアーキテクト:大塚優(協力:小倉宏志郎、本宿友太郎)
保存コンサルタント:住宅遺産トラスト、デイヴィッド・B・スチュワート
解体保存調査:山﨑鯛介(協力:木津直人)
解体・補修:小倉英世、渕田裕介/風基建設

Team Vitra
移築再建協力:クリスチャン・デリ、アンドレア・グロリムンド、 DEHLI GROLIMUND
現地プロジェクトマネージャー:クリスチャン・ゲルマドニク、Logad GmbH

所在:Vitra Campus Charles-Eames-Str.279576 Weil am Rhein Germany ⇒ map

 

 

 

 

 

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(文:VITRA・Artek PR 制作-PR 制作部-3  /  更新日:2022.07.05)

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