【レポート】東京ショールームで開催の「天童木工80周年プロジェクト」展

 

 

【REPORT】
中村拓志、二俣公一、熊野亘の新作家具が完成
創立80周年を迎えた天童木工の
「天童木工80周年プロジェクト」展

2021年7月30日(金)まで開催

 

 

「株式会社天童木工(てんどうもっこう) 以下:天童木工」は、昨年(2020年)で創立80周年を迎えました。これを記念し、「天童木工80周年プロジェクト」に取り組みました。
 

そのメインコンテンツとして進めてきた建築、インテリア、プロダクトそれぞれの視点から天童木工の今を体現してもらうべく招聘した3名のデザイナー、中村拓志、二俣公一、熊野亘による新作家具が完成。7月30日(金)まで天童木工 東京ショールーム&ストアにてエキシビションを開催しています。会場の様子を紹介していきます。

天童木工:
https://www.tendo-mokko.co.jp/


株式会社天童木工東京ショールーム&ストア
東京都港区浜松町1-19-2  → map


 


 

New Products_1

Design by Hiroshi Nakamura

背は成形合板のしなりと厚みのある張りによって、心地よい座り心地を実現。T 字で体を囲うような形状で肘を張り部分に置くことができるのでゆったりとした座り心地に。脚部にキャスター、無垢脚、ソリ脚のバリエーションがあり、座る場所の特性や用途に合わせて選ぶことができます。

 

 

New Products_2

Design by Koichi Futatsumata

複数の成形合板のパーツで構成された椅子。パーツの構成によって背もたれの無いバックレスタイプや背もたれのあるタイプ、また横に連結させたベンチタイプなど用途にあわせフレキシブルに変化するバリエーションを展開。バックレスタイプは前後どちらからでも座ることができます。
 

 

New Products_3

Design by Wataru Kumano

一見、ベーシックな椅子の形でありながら特徴的なディテールをもつ椅子。成形合板で背から座面を一体で作り、さらにそれを支える構造を別のの成形合板で背・座面・脚部を製作。前脚と後脚の組み方や背の裏側を支える無垢材の笠木が特徴的で、それが背面からの独特の見え方に繋がっています。ワークスペースにも合う肘掛のあるバージョンも展開。

 

 

山形県天童市に本社を持つ「天童木工」のその前身である「天童木工家具建具工業組合」が結成されたのは1940年。それ以来80年、天童木工は家庭や企業、官公庁向けの高級木製家具を製造、販売するプライウッド(成形合板)を主力に家具を作り続けてきたメーカーです。

特に日本の木製家具メーカーとして初めて成形合板技術を実用化したことで知られています。

終戦後、電気洗濯機、電気冷蔵庫、テレビなど家電が「三種の神器」と呼ばれて時代に、洋家具との出会いからデザインの重要性を学び、のちに「世界のタンゲ」と呼ばれる建築家丹下健三氏やプロダクトデザイナーの剣持勇氏、柳宗理氏といった日本を代表する建築家やデザイナーと仕事を重ねることで丈夫で美しい木製の家具が、人々の心をときめかせ暮らしを豊かにできることを知りました。



成形合板型枠

特に成形合板は、反対の声が多い中、その時代が来ると信じ日本でいち早くこの技術を取り入れた天童木工。このように古くから社外の家具デザイナーを起用し、半世紀以上販売を継続しているロングセラー製品も多くあり、日本の居住空間の発展に大きく寄与してきました。


会場には天童木工のアーカイブプロダクトも展示


 

新開発にも積極的に挑戦し続けてきた天童木工

また、天童木工は新開発にも積極的で世界初の圧密成形技術により、従来は軟らかくて家具に向かないとされていたスギやヒノキなどの針葉樹の合板から出来た新たな成形合板家具の開発に成功しました。

成形合板技術を磨き続けながら、複雑な曲面を美しく仕上げる「3次元プレス成形」や家具に不向きとされてきたスギやヒノキから、丈夫で美しい家具を生み出す「ロールプレスウッド(RPW)」、難燃性や耐候性、防腐・防蟻性といった様々な機能を付加する「圧密浸漬処理」など、新技術の開発にも積極的に取り組んできました。2015年には、「第6回ものづくり日本大賞」で従業員5名が最高賞の内閣総理大臣賞を受賞。
 

・スギ圧密材仕様は軟質針葉樹を圧密化し成形合板に応用する技術「Roll Press Wood(RPW)」を活用したプロダクト川上元美氏デザインの新製品「STICK」、小林幹也氏デザインによるスツールとテーブルの新製品「TARU」 >>>
 



 

官公庁や企業などを対象とした特注家具(コントラクト家具)の製造の他、トヨタ(レクサス)やホンダの本木目パネル、ウッドステアリングも手がけています。

・「LEXUS」の象徴であるスピンドルグリルをモチーフに、株式会社天童木工が製作するスツールが「LEXUS collectio」より新登場。 >>>>


木材の可能性を引き出し、新たな価値を生み出す。それは80年前の創業当初から、家具づくりを通じて木と真剣に向き合ってきた天童木工の使命です。斬新な発想や生活様式の変化、価値観の多様化に対し、素材の追及と職人の技術でこれからも挑戦し続けます。黎明期から支えたデザイナー、剣持勇氏を中心に発展した「ジャパニーズモダン」の思想は、今なお天童木工のものづくりの大きな指針となるものです。本プロジェクトではあらためて「ジャパニーズモダン」の意義や普遍性を探るとともに、新たなデザイナーを招聘し、次なる時代を見据えた家具づくりに取り組みます。

天童木工ではこれらの成果を、順次リリースや公式ホームページ等で発表を予定しています。

3名のデザイナーの新作発表会は7月30日(金)まで開催しています。ご興味のある方は是非足をお運びください。

【開催概要】
TENDO JAPANESE MODERN /80 PROJECT 新作発表会
会期:2021 年7 月2 日(金) 〜 30 日(金)
会場:天童木工 東京ショールーム&ストア
東京都港区浜松町1-19-2  → map

 

 

天童木工
https://www.tendo-mokko.co.jp/

 

(文:制作_インテリア情報サイト編集部-3  /  更新日:2021.07.20)

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