西日本豪雨災害被災者に向けた「モバイル型応急仮設住宅」の供給 開始


倉敷市でのムービングハウス設置風景

 

西日本豪雨災害被災者に向けた
「モバイル型応急仮設住宅」の供給が開始 
 ~トレーラーハウス・ムービングハウスで迅速に住宅を輸送~ 
 

 

一般社団法人日本RV輸入協会と一般社団法人日本ムービングハウス協会は倉敷市の要請を受け、平成30年7月の西日本豪雨災害により居住を失った岡山県倉敷市真備町地区の被災者に向け「モバイル型応急仮設住宅」を設置します。

 

同市内船穂町柳井原市の私有地(以下「柳井原仮設団地と呼ぶ)にトレーラーハウス(車両を有する移動型住宅)10棟とムービングハウス(海外輸送コンテナサイズの移動型木造住宅)40棟の計50棟と、ムービングハウス4棟を連結した集会施設から構成される「応急仮設住宅」です。

 

8月末までに柳井原仮設団地の外構整備や給排水や電気・ガス工事、住居設置工事等を全て完了させ、9月初旬から入居開始予定としています。倉敷市との契約主体は、一般社団法人日本ムービングハウス協会の会員企業であり、特定建設業許可を有している株式会社アーキビジョン21が本体のレンタル供給と敷地の外構工事等を一体的に受託し、これら事業管理を行っています。このようなトレーラーハウスやムービングハウスなど完成した住宅を輸送するタイプの応急仮設住宅を、「モバイル型応急仮設住宅」とし(以下「モバイル型」と呼ぶ)、モバイル型が災害救助法に基づく応急仮設住宅として採用されたのは今回が初めてとなります。

 

 


ムービングハウス

 

■モバイル型が導入された経緯

熊本地震ではトレーラーハウスが災害救助法上の福祉避難所として採用され5か月間レンタルされた実績があります。同福祉避難所は一般社団法人日本RV輸入協会と一般社団法人協働プラットフォーム(代表理事・長坂 俊成)が共同し内閣府、熊本県、益城町に提案し実現したもので、一般社団法人協働プラットフォームは益城町から要請を受けて2か月間にわたり同福祉避難所の入所者支援に取り組んだ実績があります。今回も発災当初から茨城県境町ほか民間事業者とともに倉敷市の避難所にシャワー室タイプのコンテナユニット等3台、及び倉敷市災害ボランティアセンターの長期滞在スタッフの宿泊施設としてムービングハウス4台を無償提供する公民協働の被災地支援をコーディネートしています。

一般社団法人日本RV輸入協会と一般社団法人日本ムービングハウス協会、一般社団法人協働プラットフォームの3団体は、予てから、トレーラーハウスやムービングハウスを応急仮設住宅として活用することを国等に提言しその普及のための制度的な整備や社会的な備蓄の普及、災害時派遣のネットワークづくりに取り組んでいます。

平成30年7月豪雨の被災直後、岡山県倉敷市真備町の被災状況を把握し、倉敷市の応急仮設住宅供給の意向を確認。倉敷市に借上型応急仮設住宅に準じて被災者の早期入居が可能なモバイル型の供給を提案しました。災害救助法を適用したモバイル型の供給を働きかけ、それを受けて、岡山県が倉敷市と協議し、すでに上記3団体とモバイル型の実現に向けた検討を進めていた倉敷市が県の委任を受けて事業を実施することとなりました。

 

 

 

■借上型応急仮設住宅と建設型応急仮設住宅との違い

モバイル型は、従来の「借上型応急仮設住宅」(応急的に民間賃貸住宅等を借り上げて提供する住宅。みなし仮設住宅とも呼ばれる。以下、「借上型」と呼ぶ。)と「建設型応急仮設住宅」(プレハブ又はユニットハウスを木造応急仮設住宅を現地で施工し建設するもの。以下、「建設型」と呼ぶ。)を補完し、早期入居を実現する第3の応急仮設住宅として位置づけられます。


借上型(みなし仮設住宅)は、既存の賃貸住宅を借り上げるもので、既存ストックを有効活用し早期入居が可能であることや建設型と比べて費用が安いなどのメリットがあります。しかし、今回被災した真備町の場合、立地や老朽化、耐震性、所有者の意向、分散避難生活によるコミュニティの崩壊など、需給のミスマッチが多く、借上型(みなし仮設住宅)以外の応急仮設住宅を供給することが求められました。建設型は現地で施工するため工期がかかり、一般に入居までに概ね2か月程度かかるなど、大量に供給する場合には被災地の職人が不足し、応援派遣される職員の住居の確保など供給スピードに制約がかかります。

モバイル型は全国の工場で分散して生産し輸送・移設するため、現地で建設する建設型よりも納期を短縮することが可能となります。

モバイル型の経済性を既存のプレハブ等の建設型と比較すると、建設型が一棟当たり総額800万円(本体工事費が561万円(災害救助法の規定)と解体撤去・廃棄物処分費用など)に対して、モバイル型の総額(本体のレンタル価格と往復の輸送費・設置費、敷地や外構整備、上下水道の接続工事、電気・ガス工事、敷地の原状回復の費用など)総額では建設型の概ね8割程度となり高い経済性を有します。さらに、建設型と異なり本体の解体に伴う廃棄物が発生せず、再利用可能なため環境性にも優れています。

 

 

■早期入居に向けた今後の課題

今回は従来の建設型で協定されている設備・備品等の仕様への一部準拠が求められたため、完成しているトレーラーハウスとムービングハウスをそのまま移設して利用できず、新規造作と改造に時間を要し、さらに外構工事や給排水や電気・ガス工事等の調整にも時間を要しました。しかし、現段階の見通しでは、当初の予定通り、発注後概ね一か月以内で設置完了する見込みです。

今後、モバイル型の安全基準や住宅性能、仕様の標準化やレンタル料金の協定、メーカーやレンタル事業者による流通備蓄や協定ユーザーによる社会的備蓄や輸送体制の整備などにより、入居までの期間のさらなる短縮が可能となります。そのためには、特に、本体の社会的備蓄と全国の生産体制の増強などモバイル型の供給事業者の努力に加え、応急仮設住宅団地の候補地のデータベース化、上下水道などライフラインの事前整備など国や自治体による効果的な受援のための環境整備が求められます。キャンプ場やスペース施設などの集約施設の駐車場には応急仮設住宅の利用を想定したライフラインの整備を国と自治体が連携して推進することが求められます。

 

 

■使用後の再利用

モバイル型仮設住宅は20年以上の物理的耐用年数を有し、契約終了後は解体せずにそのまま返却・移動され、その後、賃貸以前の使用に戻されることや、新たにレンタルされる、中古として売却される等、様々な有効利用方法を選択する事ができるため、環境性と経済性に優れた特徴を有しています。


モバイル型は、一般住宅と同等以上の耐震性や24時間換気等シックハウス対策などの安全性と、高気密・高断熱による高い快適性、省エネ性を有しており、契約終了後、被災自治体が再レンタルまたは残存価格で買い取り、ライフラインが整備されている既成市街地内の空き地等に移設(建築物として本設)し、戸建型災害公営住宅として被災者に提供することも可能となります。さらに、災害公営住宅としての需要がなくなった段階で、キャンプ場などに移設し宿泊体験・交流施設として再利用しつつ応急仮設住宅の社会的備蓄として災害時には災害救助法に基づき貸出し災害対策に貢献することができます。また、応急仮設住宅の契約終了後、被災者に残存価格で払い下げ、被災者生活再建支援法の助成金等の資金を活用し本設住宅として自力再建を支援することも可能です。

 

 

■今後の展開

上記3団体が共同し、全国各地への生産拠点の増強、地場産の内装材の開発、インフィル設備備品の標準化、企業のサテライトオフィスや研修施設、ふるさと納税を活用した都市と地方が連携した交流・疎開受け入れ施設等による社会的備蓄の普及を目指します。そのために、「社会的備蓄に関する協定」と「災害時のモバイル型派遣運用マニュアル」を整備します。

今回の「倉敷モデル」の教訓を踏まえ、モバイル型の迅速、安全、快適、ローコスト、再利用性などの利点を最大限に生かすために、内閣府防災担当とも協議し都道府県用「モバイル型応急仮設住宅共有マニュアル」案を整備し、全国の都道府県他自治体に「モバイル型応急仮設住宅の供給に関する協定」の締結を提案します。また、海上輸送やクレーンなど重機の確保のために運輸業界や重機レンタル事業者など関連団体との協定に向けて協議します。

 

※上記は「株式会社アーキビジョン21 一般社団法人日本ムービングハウス協会」からの提供リリースを掲載しました。

 

 

株式会社アーキビジョン21
http://www.archi21.co.jp/

一般社団法人日本ムービングハウス協会
http://smartmodulo.jp/
 

 

 

 

(文:制作 PR-K_PR制作部-1  /  更新日:2018.08.28)

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