「工芸ハッカソン2018」 渋谷EDGEofにて発表

 

伝統工芸と先端テクノロジーとの出合い
「工芸ハッカソン」
今年はそこから生まれたプロジェクトの発展形を
渋谷「EDGEof
にて発表!



 

「工芸ハッカソン」は、11月30日(金)から12月2日(日)までの3日間、渋谷のゲームチェンジャースタジオ「EDGEof」にて、展示やトークセッションを通じてプロジェクトの最新の状況を紹介するイベント「工芸ハッカソン2018」を開催します。

伝統工芸と先端テクノロジーとの出合いを生み出した「工芸ハッカソン2017」。今年はそこから生まれたプロジェクトの発展形を最新の状況を展示やトークセッションを通じて紹介し、手仕事とテクノロジーの融合による日本発の文化や産業のイノベーションの可能性を探ります。


 

「工芸ハッカソン」は、2017年に「国際北陸工芸サミット」の一環として富山県高岡市で開催されました。金属工芸や漆芸の技と心意気を400年以上受け継ぐ高岡市を舞台に、地元の伝統産業の職人や工芸作家と、エンジニアや研究者、アーティストなど異分野の方たちがチームを組み、7つのプロジェクトが生まれました。漆塗りを用いたインスタレーション、伝統工芸にIoTを組み込んだプロダクト、AIと職人の協働による作品、エンジニアリングを用いた技術継承のための新しいシステム…。それらは単なるアイデアに終わらず、その後も取り組みが継続しています。

会期中には、富山県高岡市の伝統の技(螺鈿細工と鍛金)を職人が教えるワークショップも開催します。

「工芸ハッカソン」特設ページ https://kogeihackathon.com/

 

 

<渋谷のゲームチェンジャースタジオ「EDGEof工芸ハッカソンの様子>2018

 

 

 

<2017の工芸ハッカソンの様子>



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国際北陸工芸サミット「工芸ハッカソン」 参加者 募集!!

 

 

 

 

 

| 「EDGEof」 開催 プログラム

 

■ 展覧会  Exhibition
日時:11月30日(金)~12月2日(日)

「Douch Design Week」にて展示される(「9+1」)、芸術工学会に招かれ発表する(「伝統技術の継承」)、商品化のための特許取得(「つくるラボTakaoka」)等、各チームはハッカソン後も継続して活動を展開中。製作している作品やプロトタイプ、取り組んできたプロジェクトを一堂に展示、発表します。インスタレーション、アート、サービス、プロダクトといった幅広いジャンルで展開します。


写真:チーム「9+1」CRAFT SCAPE インスタレーション

 

写真:チーム「Re工芸」
 


■ トークセッション Talk Session
日時:11月30日(金)18:00~19:00
「工芸ハッカソン」の審査員をゲストスピーカーとしてお招きし、今後の工芸と各分野の融合、そこから生まれる新しいムーブメントの可能性などについて、チームメンバーも交えてトークを展開します。
 

ゲストスピーカー(2017年「工芸ハッカソン」審査員)

林 千晶 (ロフトワーク代表取締役)


菱川 勢一(映像作家 / 写真家 / 演出家 武蔵野美術大学教授)


モデレーター

林口 砂里(エピファニーワークス代表取締役)

 

■ レセプション Reception
日時:11月30日(金)19:00~21:00
「工芸ハッカソン」参加チームメンバー、トークセッションゲストスピーカーとの交流を目的としたレセプションパーティーを開催。どなたでもご参加いただけます。
 

◎「トークセッション」「レセプション」については工芸ハッカソン特設サイトから事前予約が必要です。先着順につき定員に達し次第受付は終了します。>> https://kogeihackathon.com

 




■ 工芸ワークショップ K OGEI Workshop
日時:12月1日(土)&2日(日)10:00~18:00

昨年の「工芸ハッカソン」開催地・富山県高岡市の伝統産業である、金属工芸と螺鈿細工の職人を招き、ワークショップ(製作体験)を開催します。
 

【螺鈿体験】12/1 、12/2
◯螺鈿アクセサリーづくり
ネックレスやイヤリング、ピアス、ストラップ、箸などから選んでいただき、螺鈿でオリジナルの柄をつけます。


写真:螺鈿入り箸

・螺鈿アクセサリーづくり
日時:12/1 、12/2 10:00~18:00
体験料:2,500円【約30分】(布袋付き) 
講師:折橋治樹(伝統工芸士)


◯螺鈿ネイル
螺鈿(アワビ貝)の輝きをネイルに。0.1mmまで薄く削った貝を使う高岡の技術でしかできない螺鈿ネイルをプロのネイリストがあなたの手に施します。


螺鈿ネイル

◯螺鈿ネイル
日時:12/1 、12/2 10:00~18:00
体験料:1本 1,500円【約15分】
講師:ネイル&カラーサロン ステラ 松由香理

 

【すずがみ製作体験】(12/2 のみ)
紙のように薄くて自由に曲げることのできる錫(すず)の器を、お好きな模様の金槌を使用して作る体験です。錫や鍛金に関するレクチャー付き。


写真:すずがみ製作体験

・すずがみ製作体験
日時:12/2 のみ10:00~18:00
体験料:3,000円【約90分】 
講師:シマタニ昇龍工房 四代目 島谷好徳(伝統工芸士)

 

 

■ ギャラリートーク Gallery Talk
「工芸ハッカソン」参加チームメンバーによる作品解説。展示では説明しきれない部分をメンバーが直接
語り、質問も可能です。開催時間は特設サイトにてお知らせ予定です。

 

 



| 各プロジェクト紹介

■ 素材調



金属という「素材」に注目し、新しい打楽器を制作。「高岡銅器」といっても、真鍮、ブロンズ、唐金(からかね)など様々な種類の「銅合金」があります。職人は素材の特性を熟知して、製品によって使い分けているのです。「工芸品は素材が昇華したもの」だと考えた素材調チームは、プロダクトデザインではなく、見せ方がデザインされた『素材』をつくることを考えました。それがメディアとなって、高岡の工芸に使われる素材や技法を知る機会を作り、また実際に使われていくもの、使われ続けることで古くならないようなものを目指し、これまでにない「打楽器」を制作しています。今回は「真鍮」(銅と亜鉛の合金)に着目し、銅と亜鉛の配合率を変えた3種類の素材を用い、素材の響きの違いが強調される形状を探しました。棒状、丸型、トライアングル、などを作っては周波数解析などで音の響きを検証し、合計で53の素材と形状を試し、見た目にも美しいプロトタイプを制作。今後、さらに素材の種類を増やして多彩な音が出せるようにし、ミュージシャンによるコンサートを開催していきます。

 


 


■ 9+1(ナインプラスワン)



日本の美意識をベースに、工芸と先端テクノロジーを融合=「CRAFTECH クラフテック」漆・金箔・銅・酸化皮膜などの高岡の伝統工芸で使われる“素材” を見つめ直し、電気伝導体/絶縁体としてのエレクトロニクス素材としても捉えられることに注目。「漆」は絶縁体であり、その特性を生かした基板と捉え、漆の美しさも表現するアート作品の制作を目指します。
漆を塗ったアクリルパネルは、レーザーカットによる特殊なカットパターンによって曲げることができ、曲げ量は、作品内部の6台のモーターにより制御されています。その漆面にLEDで光をあてると、壁面に水面のようなパターンが浮かび上がります。これは漆の反射の特性によるものです。漆という素材は、その黒光りする反射の特性から、古来より水面に見たてられることがありました。本作品では、そのような反射の特性とテクノロジーを用いて現代的に水面を再解釈しています。オランダ、アイントホーフェンのDouch Design Weekにて展示も開催(2018.10.22~28)

 

 

 



■ 伝統技術の継承
 



未来に「感動」を残したい。動画解析・分析による伝統の技の継承システム。
技の習得に時間がかかるため、現代の若者には伝統工芸は飛び込みにくい業界というイメージがあり、伝統工芸の「後継者不足」という深刻な問題につながっています。一方で、一度途絶えた技は取り戻すことが不可能に近いほど難しく、技術の保存や継承は喫緊の課題です。今回は、言語化が難しく、継承を困難にしている職人技の「暗黙知」の中で、「身体知」を動画解析の技術を使って分析することを試みました。そうした試みはこれまでもありますが、本プロジェクトの特徴は「スマフォ」で撮影した動画で誰でも簡単に解析結果が得られるという点です。それを可能にしているのは、最新のAI(人工知能)です。

具体的には、ベテラン職人と見習い職人の作業の様子を撮影し、解析。動画の比較から姿勢や動作における差分を抽出します。見習い職人がその差分をなくすように作業をすることにより、身体の動きを学ぶというものです。実際に、「研磨」「彫金」「鍛金」という3種類の技で行ってみたところ、見習い職人の作業に明らかな変化・上達が認められました。また、ベテラン職人側も客観的に自身の動きを確認することによって、動作に対し意識的になることができたとのこと。

富山大学芸術文化学部とも連携し、今後はさらにサンプルを集めてデータベース化し、誰でも動画をアップして解析ができる「フィードバックアプリ」を開発していきたいと考えています。

 

 


■ Re工芸


「予期せぬ答えを返す隣人」としてのAIとの共創による、誰も見たことのない工芸。
人工知能との掛け合わせにより、高岡工芸がこれまで培ってきたものを別の視点から見ることはできないだろうか?
AIは人にとって便利もしくは脅威として受け取られがちですが、「予期せね答えを返してくれる隣人」として捉え、職人との共創により、工芸の造形や制作プロセスを捉え直して、新たな展開をもたらす実験=Reconstruction工芸(工芸の再
構築)に取り組みます。

Googleの開発したDeep Dreamというシステムをベースに画像処理AIを開発。最初に、電子機器や現代建築といった高
岡工芸から遠い、現代のイメージを大量に学習させました。そこに、高岡工芸のイメージ(今回は「仏壇」)を与えると、これまで学習したものと似たものを抽出し、拡大・強調して、再構成します。ここからは人が、その中から「仏具の三具足」というイメージを出発点にモチーフを選び出し、スケッチに起こし、高岡の原型師が立体化し、漆職人が漆を塗って仕上げました。

決してAIの指示通りに作品を作ったのではなく、AIが示したイメージから、人が想像力を駆使して能動的に作品を制作。人間の常識を前提としない連想で、伝統産業に人間ではあり得ない一手を提示する可能性を探っていきたいと思います。

 

 

■ つくるラボTakaoka

伝統工芸×IoT。「eoRin(いーおりん)」が大切な人にあなたの想いを届けます。
富山県高岡市は、日本の仏具生産の9割を占める「仏具の里」。仏具の一つである「おりん」も、音にこだわった多様
な製品を作っています。「eoRin」はこの癒しの音色を持った伝統工芸の「おりん」とIoTを組み合わせたプロダクトです。
核家族化が進み、家族が離れて暮らすことも多くなりました。通信手段はいろいろあるとは言え、もっとシンプルにコ
ミュニケーションが取れ、お互いの存在をいつも身近に感じられないでしょうか?

この「eoRin」をあなたが鳴らすと、離れたところにあるペアのeoRinも鳴ります。例えば、1回鳴らすと「おやすみ」、2回鳴らすと。。と合図を決めても。金属の持つ魅力的な音色を最大限に引き出す高岡のおりんの音を聴くことでリラックス効果が得られ、また音を聴きながら相手のことを想う時間にもなるでしょう。

ソレノイド(電磁石応用作動機構)、マイク、マイコン、無線通信機を内蔵させることで実現するシステムで、すでに2件の特許出願を済ませています。実際の商品の販売に向け、開発に取り組んでいます。

 

 



■ Metal Research Lab


金属と作り手との間にコンピュータ技術を介在させる新しい表現の探求。
人工知能、3Dモデリングや3Dプリンタ、ロボットアームといったコンピュータ技術が職人の仕事を奪うのではないかとの危惧がある中、逆にこの技術を工芸に組み込むことによって、まったく新しい「金属表現」ができないかを探るプロジェクト。
工芸は、作り手の意図と素材の意図(性質)の間に偶発性を伴いながら生み出されるものです。そこに、アルゴリズムやシミュレーション、データ解析などを介在させることによって、これまでに見たことのない金属表現を探るため、「Latent:コンピュータが作り出した形状やパターンを人の手によって形にする」「Obvious:手仕事や現実的には困難な作業による表現をシミュレーションで探る」という2つのアプローチによるリサーチを行いました。

その結果、実際に見たことのない造形表現が生まれ、工芸のポテンシャルはまだまだ引き出せることを実感しています。
つくるラボT akaoka伝統工芸×IoT。「eoRin(いーおりん)」が大切な人にあなたの想いを届けます。

 

 



■ トントントヤマ


製造過程にユーザーが参加する体験型プロダクト&サービス。

伝統工芸の素晴らしい技や、魅力あふれる職人たちをもっと多くの人に伝えられないか。伝統工芸と現代技術をつなぐ
ことによって、「物語」を商品に付加することはもちろん、リーズナブルなオーダーメイドシステムを確立し、ユーザーが製造過程に参加できる新しいプロダクトの提案です。仏具の「おりん」を叩いて製造する、高い技術を持つ職人が生み出した「すずがみ」。錫100%の柔らかい金属を叩くことで強度を上げ、しかも自由に曲げ伸ばしできるユニークな商品として人気を得ています。「トントントヤマ」は、この「すずがみ」の模様をオーダーメイドできるサービスとそれを実現するシステムです。ユーザーはweb上でビットの模様を指定すると、それを元にデジタルファブリケーションと伝統的な鋳造技術によって作成されたオーダーメイドの金槌と「すずがみ」が作られます。金槌のビットを作る鋳造の職人、できたビットを使ってすずがみを叩く鍛金職人、それぞれが制作している様子を動画で撮影し、ユーザーのためのオーダーメイド商品の製造過程を観ることができます。オリジナルの模様を施した「すずがみ」を贈り物にしたり、動画をシェアすることにより、さらなる拡散につなげます。

 

※各プロジェクトの内容は2017年に開催された「工芸ハッカソン」の取り組みを中心としており、最新の作品や活動情報は「工芸ハッカソン2018」の展覧会・トークセッション等で発表予定です。

 

 

 

【開催概要】
文化庁委託事業「平成30年度戦略的芸術文化創造推進事業」
工芸ハッカソン2018~展覧会・トークセッション・ワークショップ
日時:2018年11月30日(金) 10:00~21:00、12月1日(土) & 2日(日) 10:00~18:00
会場:渋谷・EDGEof 
https://edgeof.co/
    東京都渋谷区神南1-11-3  → map
入場料:無料
発表チーム:「素材調」「つくるラボTakaoka」「伝統技術の継承」
                 「トントントヤマ」「9+1」「Metal Research Lab」「Re工芸」
主催:文化庁、有限会社エピファニーワークス
制作:有限会社エピファニーワークス
協力:富山県、高岡市、富山大学、富山県総合デザインセンター、高岡市デザイン・工芸センター、
        KDDI株式会社、株式会社エッジ・オブ
問合せ先:(有)エピファニーワークス 内「工芸ハッカソン」事務局  info@kogeihackathon.com

 

「工芸ハッカソン」特設ページ: https://kogeihackathon.com/

 

 

 

工芸ハッカソンについて
ハッカソン(hackathon)とは一般的に、ソフトウエア開発者が短期間にプログラムの開発やサービスの考案などの共同作業を集中的に行い、その技能やアイデアを競う催しで、「ハッキング(既成概念を壊す)」と「マラソン」を組み合わせた造語。予測を超えた成果を生み出す手法のひとつとなっています。2017年に高岡市で開催された「工芸の未来」をテーマとした「工芸ハッカソン」では、地元及び全国から142名の参加応募をいただき、その中から多様な分野の一線で活躍する37名が参加し、大きな話題となりました。



富山県高岡市について
人口約17万人の富山県西部の中心都市。約400年前に加賀藩二代当主・前田利長公によって開かれました。高岡銅器、高岡漆器などの伝統産業と、アルミ・化学・パルプなどの近代産業がともに盛んな、日本海沿岸を代表するものづくりのまちとして発展してきました。高岡城跡、国宝・瑞龍寺、ユネスコ無形文化遺産に選ばれた「高岡」、伝統的な町並みなど、歴史的・文化的資産も数多く残され、昔も今も変わらぬ人々の心意気が受け継がれています。


 


 

 

(文:制作 PR-C_PR制作部-5  /  更新日:2018.10.29)

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