ヴィトラ ミラノサローネで発表予定だった2020年秋に発売するヴィトラホームコレクションを公開

 


Vitra Home Collection Autumn 2020
2020年秋に発売するヴィトラホームコレクションを
ヴィトラキャンパス内プロダクションセンターを使い発表


 

 

ヴィトラは2020ミラノサローネ国際家具見本市で発表予定だった新作プレゼンテーションを、ヴィトラキャンパス内SANAA建築のプロダクションセンターを使い、2020年秋に発売するヴィトラホームコレクションの新製品や新バリエーションを発表しました。


日本の建築デザイン事務所「SANAA」 が建築を手がけたヴィトラキャンパス内のファクトリービルディングにて、個性豊かなインテリアデザイナーやデザイン事務所とともに、異なるライフスタイルや価値観を映し出す4つのインスタレーションを作り上げました。ジャン・プルーヴェの復刻チェア「シェーズ トゥ ボワ」や、エドワード・バーバー&ジェイ・オズガビー、ロナン&エルワン・ブルレック、アントニオ・チッテリオ、コンスタンチン・グルチッチジャスパー・モリソンの新作を散りばめた4 つの「住まい」をご紹介します。
 


 


|  インスタレーション 1


「ある紳士X 氏」:F Taylor Colantonio
https://ftaylor.co/

ローマを拠点とするデザイナー、F Taylor Colantonioは、風変りかつモダンな美術史家の暮らしを作り上げました。その紳士は、イギリスがEU を離脱するブレグジット前夜、先祖代々から暮らすローマの古城に戻ってきたのです。F Taylor Colantonio が構想し、作り上げたのは、時の経過ともに進化するインテリア空間です。長い時の流れの中で、既存の建築にまるで地層のように新たな要素が積み重なり、古きと新しき、自然の産物と人工物とが飽和したその空間では、目の前の光景が現実なのか神話なのかすら区別することが不可能です。

何世代にも渡り暮らしてきた人々の痕跡を残し、その時代時代の流行が刻まれた、キャンバスのような空間、それがF Taylor Colantonio の提案するインスタレーションです。16世紀に建てられた古城は、1865年、当時流行した第二帝政期建築様式に改装され、タイル張りの床、大理石、バロック様式や豪華な劇場用のカーテンは、いかにも19世紀らしい佇まいです。紳士X 氏の美術に対する偏愛を映しだすかのように、色と素材が入り乱れ、神話性を感じさせる豊かな空間のコラージュは、まるで騙し絵のよう。 「マリポサ コーナー」と、ヴィトラから新たに復刻を果たす、フランスの「建設家」でジャン・プルーヴェによりデザインされた唯一の全木製の椅子「シェーズ トゥ ボワ」がコーディネートの主役として取り入れられています。

 


マリポサ コーナー

 


ジャン・プルーヴェの全木製の椅子「シェーズ トゥ ボワ」

 

 


|  インスタレーション 2


「Tatami . 畳」:Charlap Hyman & Herrero
https://www.ch-herrero.com/


ニューヨークとロサンゼルスを拠点とするデザイン事務所Charlap Hyman & Herrero が手掛けた2つ目のインスタレーションは、架空のアートコレクターのダイニングスペースをイメージしています。おそらく、この部屋の主は、日本の伝統や美学に素養の高い女性で、Stephen Birmingham(ステファン・バーミンガム)の著作”The grand dames”や、デザイナーであり小説家でもあったPauline de Rothschild(ポーリーン・デ・ロスチャイルド)、アーティストのMarie-Laure de Noailles(マリー=ロール・ド・ノアイユ)などに代表される20世紀の退廃的な文化を愛しているのでしょう。

空間に張り巡らされた、繊細かつ大胆、自然と人工物、クラシックとモダン、それらの中間に生まれる緊張感、それが人の心を強く惹きつけます。18世紀風の花柄のダマスクス織で覆われた壁と、日本の畳という絶妙な組み合わせの空間には、ジャスパー・モリソンの新作チェア「モカ」が並びます。モカは、ジャスパー・モリソンの「スーパーノーマル」というデザイン哲学を体現し、シンプルでありながら実用的で唯一無二の存在感を放ちます。机上に佇むロナン&エルワン・ブルレックによる花瓶「ヴァース デクパージュ」が、ロマンティックなこの空間に、まるで詩のような味わいを添えます。

 


ジャスパー・モリソンの新作チェア「モカ」

 


ロナン&エルワン・ブルレックによる花瓶「ヴァース デクパージュ」


 

 

 


| インスタレーション 3


「完璧な空間」:Gonzalez Haase AAS
https://gonzalezhaase.com/

3 つ目のインスタレーションを手掛けたのは、ベルリンを拠点とする建築事務所Gonzalez Haase AAS です。それは究極のフレキシブルともいえる空間です。おそらくここは、どこかの国の都市部に暮らすカップルの住まいでしょう。しかし、彼らの年齢や、どのような関係にあるのかは明確でなく、彼らはいつでも好きな時に移り住むことができるこの仮住まいに暮らしています。容易に取り付けと取り外しが可能な家具や照明で構成された空間でありながら、まるで最初からそうであったかのようにすべてが完璧に調和しています。

その中で存在感を放つのは、コンスタンチン・グルチッチの新作ラウンジチェア「シチズン」のグラフィカルなシルエットです。モダニズムを象徴する、スチールチューブを用いたデザインを継承しつつも、シリコンバレーの現代的で開放的な西海岸の軽やかさを感じさせます。
 

 

 


インスタレーション4


「受け継がれる価値観」:Daskal Laperre
https://www.daskal-laperre.com/


インスタレーション4 はベルギーのデザインデュオDaskal Laperre が手掛けました。これは、流行に左右されることなくゆったりと暮らす架空のケラー家の住まいです。時を超えて受け継がれてきた名作家具や、余計な装飾をそぎ落とし、細部までミニマルにまとめたスタイリングによって表現されています。文化的なケラー家の家族は、数は多くなくとも高品質の製品を選び、暮らしの中でも仕事の場でもそれを大切にしながら使っています。

チャールズ&レイ・イームズが、複雑な成形合板技術の試行錯誤の末に完成した、コンパクトでアイコニックな「イームズ ラウンジチェア ウッド」(ヨーロッパと中東のみの販売)や、ジャン・プルーヴェのデザインによるラウンジチェア「シテ」のさりげなくも堂々とした佇まいは、ケラー家に息づく価値観を物語っています。
 


イームズ ラウンジチェア ウッド

 

 

Vitra(ヴィトラ)について
1950年創業のスイスの家具メーカー。世界的なデザイナーの創造性と自社の開発力によって製品とコンセプトを生み出し、そのデザインの力を通してホーム、オフィス、公共スペースの空間の質の向上に貢献。またヴィトラキャンパスにおける建築やヴィトラデザインミュージアムでの展示、ワークショップ、出版物でも知られ、多様な側面を有しています。
www.vitra.com

 

 

 

(文:VITRA・Artek PR 制作-PR 制作部-3  /  更新日:2020.05.12)

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