nendoの日本美術を紹介する展覧会 企画と展示デザインを紹介

 

 

nendoの
六本木の東京ミッドタウン内にある
サントリー美術館で開催された、
日本美術を紹介する展覧会の
企画と展示デザインを紹介

 

 

 

 

2019年4月27日(土)~6月2日(日)の期間、デザインオフィス nendoはサントリー美術館にて、展覧会「Information or Inspiration? 左脳と右脳でたのしむ日本の美」展」の企画、インスタレーション「uncovered skies」を展示しました。そのときの会場写真と動画が届きました。まずはこのページでは会場の様子をご紹介します。

 


六本木の東京ミッドタウン内にあるサントリー美術館にて開催された、日本美術を紹介する展覧会の企画と展示デザインを担当しました。また、美術館内の吹き抜け空間には、本展のために制作した映像作品「uncovered skies」を展示。日本美術とは切っても切れない「四季」をテーマとしたインスタレーションを行いました。会期中、3万5千人を超える皆様にご来場いただき、おかげさまで盛況のうちに会期を終えることができました。ご来場いただけなかった皆様にも、会場写真と動画にて楽しんでいただければ幸いです(展示は6月2日に終了しております)。


 
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・サントリー美術館とデザインオフィス nendoは2019年4月27日(土)~6月2日(日)の期間、「information or inspiration? 左脳と右脳でたのしむ日本の美」展を開催します。

 

 

鑑賞者が美術作品を前にしたときに、その作品の背景にある製作過程や、作者の意図や想いなどを知ることで生まれる感動と、ただただ理由もなく心が揺さぶられる感動という、2種類の感動があると仮定。前者を「information(左脳的感動)」、後者を「inspiration(右脳的感動)」と位置づけ、同一の作品に対して2つの異なる鑑賞の仕方を提案することを考えた。

 

「information」が作品を解説する文字情報が豊富なのに対し、「inspiration」は解説文は一切無く、作品の一部のみをフィーチャーした「偏った」見せ方をすることで、日本美術に馴染みの薄い鑑賞者でも直感的にその魅力を感じ取ってもらえることを目指した。このコンセプトに沿って、サントリー美術館が所蔵する日本美術作品約3,000件の中から27点を選定。

 

次に、展示空間を「information」と「inspiration」の2つに分断し、その狭間に作品を配置することで「1つの展覧会のようで2つの楽しみかたができる」展覧会となった。

 

「information」が真っ白な空間なのに対して「inspiration」は真っ黒に仕上げ、切子のガラス工芸品は器自体ではなく、ガラスを透過して周囲に浮かび上がる光の陰影を展示。

 

 


根来塗の瓶子は、赤いフィルター越しに眺めることで、表面の朱漆が摩滅して下地の黒漆が部分的に露出している美しさを際立たせたいと考えた。



「熟柿」と呼ばれる赤楽茶碗は、裏から見ると「柿」のように見えることから、鏡を使って底面のみが楽しめるようにした。

 

「蓮下絵百人一首和歌巻断簡」などの平面作品は、異なる種類の和紙が継ぎ足されて作られている様子を表現するために、同様に複数色の和紙をつなぎ合わせたオブジェ越しに展示をしたり、「蔦下絵新古今集和歌色紙」は透明アクリル製のオブジェを使って各要素を分解して見せたりすることで、下絵と書の関係性の面白さを体感できるようにした。

 

 

 


「菊蒔絵煙草盆」は、その機能を示す「灰皿・タバコ・ライター」を並べて展示することで現代の日常性と対比させた。

 

それぞれわずかに形状が異なる宙吹きで作られた3つのガラス製の徳利は、その「不完全な量産製品」としての面白さを浮かび上がらせるために、3Dプリンターを用いた「意図的に不完全な単品生産品」と対比させた。

 

「白泥染付金彩薄文蓋物」は蓋を開いたときの驚きを体感できるように、上空に「蓋」のような小空間を用意して、鑑賞者がその中に潜り込めるようにした。

 

 

視覚のみに頼らない表現として他にも、香合や香炉といった香りにまつわる作品の付近には異なる香りを焚き、立体的なカットによって柄が表現されている薩摩切子を「触る」ことで感じ取れるような直径1500mmの半立体オブジェを用意した。

 

 

展示室は4階と3階にまたがっており、その中間に位置する吹き抜け空間には、本展のために製作された映像作品「uncovered skies」を展示。日本美術とは切っても切れない「四季」をテーマにしたこの作品もまた、直感的に体感できる「inspiration」的な要素と、その製作過程や技術的な解説を楽しめる「information」的要素を兼ね備えている。

 

「information」と「inspiration」の順路は、どちらから先に鑑賞しても、片方だけ楽しんで帰っても良く、それによって展覧会の印象の個人差が大きくなり、鑑賞者同士のコミュニケーションが誘発されることを願った。

 

本展は、決して左脳的な美意識と右脳的な美意識に優劣をつけることが目的ではなく、一度両者を意識的に切り離すことで、そこから抜け落ちた価値や、重複した要素、そして浮かび上がる多くの矛盾に気づくことに期待している。この、左脳と右脳の間に横たわる膨大なグレーゾーンの存在とその魅力を再認識することこそが、少々逆説的ながらも、本展の隠れたメッセージなのかもしれない。


photographer:Takumi Ota

 

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(文:制作_インテリア情報サイト編集部_2  /  更新日:2019.09.26)

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