東京国立近代美術館「マルセル・ブロイヤーの家具: Improvement for good」開催

 

 東京国立近代美術館
「マルセル・ブロイヤーの家具:Improvement for good」展 開催


 

2017年3月3日(金) ~ 5月7日(日) 東京国立近代美術館(ギャラリー4)にて、マルセル・ブロイヤーの家具デザインを一堂に紹介する国内初の展覧会「マルセル・ブロイヤーの家具: Improvement for good」を開催します。ドイツのバウハウス・デッサウ財団より10点、スイスのヴィトラ・デザイン・ミュージアムより8点、その他国内外のコレクションよりブロイヤー家具が集結します。

 

 

たっぷりとしたクッションや大仰な布張りをすっかり取り除いて、それまでの重々しい椅子のイ メージを一新した《クラブチェア B3》(別名ワシリーチェア)は、戦後にパリのユネスコ本部やニューヨ ークの旧ホイットニー美術館(現・メトロポリタ ン美術館分館)を手がけ、建築家としても知られるデザイナーのマルセル・ブロイヤー(1902-81)が1925年、23歳で考案した椅子です。

 


《クラブチェア B3》 1927-28年 東京国立近代美術館蔵

 

 本展は、国内の美術館に所蔵される4つの異なる《クラブチェア B3》のモデルを筆頭に、ブロイヤーの家具デザインに見られるいくつものバージョンの違いに注目しながら、国内外のコレクションによる家具約40点で構成します。家具を起点と して、戦後は建築へと創造の幅を広げたブロイヤーですが、そのデザインの核心は、家具デザインに凝縮されています。モダンデザインという言葉に様々な解釈の可能性を示しているブロ イヤーのデザインにあらためて触れ、21世紀に生きる私たちに送られた彼のメッセージを是非ご覧ください。

 

 

 

 

 

1. バウハウス ヴァイマール時代 ―木製の家具―

 ブロイヤーは1920年にドイツの造形学校・バウハウスに入学し、 初代校長ヴァルター・グロピウスの指導のもとに行われていた実験的な教育のなかで、デザイナーとしての才能を開花させま した。1925-28年には自身も学んだ家具工房で主任を務め、デッサウ・バウハウス校舎のインテリアデザインを手がけるなど、 彼の作風はバウハウスの進化と密接に結びついています。

 

 

 

2. バウハウス デッサウ時代


《ネストテーブル B9-9c》 1929年 東京国立近代美術館蔵
 

―スティールパイプの家具―
スツールとテーブルの機能を兼ね備え、バウハウスの校 舎でも使われた《ネストテーブル B9-9c》など、ブロイヤーはスティールパイプを使った初めての住居用家具を 制作します。特に《クラブチェア B3》は従来の椅子の概念を覆す「空中に浮いたような」姿が人々の注目を集めました。その後のブロイヤーの素材や構造へのあくなき探究心を象徴する重要な作品である《クラブチェア B3》と、それに続くバリエーション豊かなスティールパイプ製の家具を中心にご紹介。

 

 

 

 

3. スイス・イギリス時代

《サイドチェア 301》 1932-34年 ミサワホーム株式会社蔵

 


《アイソコン・サイドチェア BC3》 1936年 東京国立近代美術館蔵


―アルミニウムとプライウッドの家具―
1928年にバウハウスを去った後、ブロイヤーはヨーロッパの主要な都市を巡りながら様々な建築や家具デ ザインのプロジェクトに携わります。スイス時代には、骨組みが一本のつながったアルミニウムで構成された 《サイドチェア 301》、イギリス時代には、合板(=プライウッド)を曲げたシルエットが独特の丸みを持 つ《アイソコン・サイドチェア BC3》を制作するなど、新しい素材との出会いが、家具の構造やデザイン にも新しい展開をもたらしました。

 

 

 

4. アメリカ時代 ―家具から建築へ―
ハーバード大学に招へいされたグロピウスに呼ばれ、ブロイヤーは1937年にアメリカに渡ります。その後もイギリス時代の流れを思わせるプライウッドの家具などを制作しますが、徐々に活動の中心は建築へと移行します。本章ではアメリカ時代に手がけた家具2点と住宅建築8点を通じて、ブロイヤーが「居住空間の重要な要素」と位置づけた家具と、建築の関係性を考察します。

 

 


マルセル・ブロイヤー(Marcel Breuer)について
1902年ハンガリーに生まれる。1920年ドイツの造形学校・バウハウスに入学し、初代校長ヴ ァルター・グロピウスの指導のもとに行われていた実験的な教育の中でデザインを学ぶ。1925年から1928年まで自身も学んだ同校の家具工房で主任を務めた。その後はスイスやイギ リスで家具のデザインや建築プロジェクトに携わる。1937年にアメリカに拠点を移し、ハーバード大学で教鞭を取りながらグロピウスと協働し様々な住宅建築を手がけた。1946年ニュ ーヨークに個人事務所を移設、以降は住宅建築に加え、美術館や大学などの公共建築に携わる。1981年死去。

 

 

 

 

【開催概要】
(日本語)マルセル・ブロイヤーの家具: Improvement for good
(英 語)Marcel Breuer's Furniture: Improvement for good
会期:2017年3月3日(金)~ 5月7日(日)
開館時間:午前10時~午後5時(金曜日は午後8時まで、土曜日は本展及び所蔵作品展「MOMATコレクション」のみ午後8時まで)入館は閉館30分前まで
休館日:月曜日(3月20日、27日、4月3日、5月1日は開館)、3月21日(火)
観覧料:一般430円(220円) 大学生130円(70円)
           高校生以下および18歳未満、65歳以上、「MOMATパスポート」をお持ちの方、友の会、賛助会員、
           MOMAT支援サークルパートナー企業(同伴者1名まで、シルバー会員は本人のみ)、キャンパスメンバーズ、
          障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。
          ( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
          *割引・無料には入館の際、学生証・運転免許証など年齢のわかるもの、
           会員証、社員証、障害者手帳をご提示ください。
※上記料金で、入館当日に限り所蔵作品展(本館、工芸館とも)がご覧いただけます。
※3月5日(日)、4月2日(日)、5月7日(日)は(
本展および所蔵作品展のみ)無料観覧日です。
主催:東京国立近代美術館
協賛:株式会社良品計画
協力:日本航空、Knoll Store青山本店、ミサワホーム株式会社
会場:東京国立近代美術館 2階 ギャラリー4
        〒102-8322 東京都千代田区北の丸公園3-1
東京メトロ東西線「竹橋駅」1b出口 徒歩3分
東京メトロ東西線・半蔵門線 / 都営新宿線「九段下駅」2番出口 徒歩15分
http://www.momat.go.jp

 

 

 

(文:インテリア情報サイト編集部-1  /  更新日:2017.02.09)

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