【インタビュー】次世代クリエーターたちの挑戦 荻原実紀さん

 

時代の価値観の転換期、そして東日本大震災

2010年の創業当時、ITが普及し始める頃にベンチャー企業が出現したように、社会の課題解決をテーマにした企業や社会起業家が次々に出現し始めていました。ものを持つことだけに喜びを見い出せなくなっている消費者たち。エシカルファッションやフェアトレード、シェアリング、消費者や生活者目線で共感することを軸にものがつくられたり、川上から川下に流して行くのではなく消費者と共創していったり、ものづくりにも新しい動きが始まっていました。
荻原さんは、2008年にリーマンショックはあったものの、こどもの頃からずっと不況は続いていたし、今が特別な停滞期とも考えず、「こころを重視する時代」と捉え、反対に何かが大きく変わろうとする時代転換の最中にいるように感じ取っていました。

しかし、誰もが想像しなえなかった天災が日本で起こります。

2011年3月11日東日本大震災。東北地方を中心にした被害は大きく、日本中が悲しみくれました。何度かボランティアで被災地に足を運んだ荻原さんは、自然のもたらす大いなる力、命の大切さや儚さ、そして自然のいとなみと共に生きていることを実感します。

この大きな転換期は、日本の人々の考え方を大きく変えただけでなく、価値観の転換スピードをさらに加速させたと、荻原さん。周囲の同世代が、この震災を節目に、生き方、仕事観や職業、家庭観や住む環境、付き合う人脈までも見直し、新しいライフステージを歩み始め、また心のよりどころを求める人達が増えたと感じ取っていました。

 

聖地 伊勢に魅了される

そうした中、2012年頃からある方の紹介で伊勢に通いはじめます。言わずと知れた伊勢神宮のある日本の聖地 伊勢です。荻原さんは導かれるように伊勢に魅了されていきました。

 

「お伊勢さん」の名で親しまれる伊勢神宮。内宮と外宮を中心とする125社の総称です。清らかな五十鈴川が流れ、深い森に囲まれた伊勢神宮。鳥居をくぐると、街中とはまったく異なる凛とした空気に包まれます。身が引き締まり、神聖な森の中でいつの間にかリラックスして、不思議と穏やかな気持ちになります。

荻原さん自身も、伊勢神宮参拝のたびに、心が真っすぐに清らかになり、感性が研ぎ澄まされて行く感覚を得ました。豊かな大自然に囲まれて、素直な心で手を合わせて参拝することで、生きていることへの感謝の気持ちが芽生え、日本文化の素晴らしさに気づいていきます。そして、自分と真正面に向き合い、自らの生きる使命について再認識していく機会になっていったそうです。



 

荻原さんが通いはじめた2012年当時は式年遷宮や観光にまつわる広報もこれからという時期。それでも平日休日問わず、お伊勢参りにたくさんの母娘や女性たちが訪れていました。

伊勢神宮の素晴らしい自然、日本の美しい精神性や文化を思い出し、感じ取ることのできる聖地・伊勢の雰囲気そのままを、日常生活に持って帰られないだろうかと思うようになります。そして、参拝する同世代の人々(特に感受性の高い女性)に向けた商品が、伊勢にはないと気がつき、伊勢ならではの価値を感覚的に伝える商品を企画開発しようと考えます。

 

 

(文:KEIKO YANO (矢野 恵子)  /  更新日:2014.11.02)

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